Q-10 近年、自分達も高齢になり、親亡き後の子供の生活が心配になってきました。そこで、将来の自分と子供、両方の生活について相談をしにいこうと思ったのですが、とにかく自分でその計画を立ててみなければ何を相談しにいけば良いのかも分からないと思い、計画を立ててみることにしました。しかし、その計画立案方法すらも良く分かりません。そこで、どのようにすれば自分でも生活の設計を立てられるのかということについて、教えて下さい。
A この方の質問は、生活設計をご自分でたててみたいというものです。
「子供が困らないように」というのはやはり親心です。特に、子供が重度障害を持っていたり、家は持っているが、それをその子に相続すると他の子供に残してやる財産があまりなくて、子供たちがもめないか心配などというケースもあると思います。とにもかくにも子供に財産を残すという点で心配がある人は、「上手にのこす」方法を考え、自分が元気なうちにそれを実行しておかなくてはなりません。
それは、親から子供への財産の移転は、事実上、生前の親から子への贈与、もしくは相続によってなされます。相続については別の「Q&A」でふれますので、ここではご自分たちのこれからの生活設計の立て方と子供に残す財産の決め方、生前贈与について、話もに関わる基本的な注意点と方法について説明することとします。
始めに財産を目的によって分けることを考える
子供の将来が心配だという気持ちは分かりますが、それと同時に自分たちの生活もきちんと考えておかなくてはなりません。なぜなら、子供に残すことだけを考えてしまうと、場合によっては自分たちの生活がままならず、結果として計画どおり子供に財産が残せなくなってしまう、つまり共倒れになってしまうことも考えられるからです。したがって、いちばん大切なことは、自分たちの生活、配偶者の生活保障、病気やケガなど緊急時への備え、子供に残す財産など、財産を目的によって分けておくということです。
こうしたことを「子供に財産を残したい夫婦の生活設計のステップ」としてまとめたのが次ぺージです。順序としてはまず最初に、自分たちのこれからの生活設計を今一度見直します。もちろん今のままで行くのならそれでも結構ですし、ある程度子供に残すことを意識して抑えていっても結構です。子供に残す分まで決めていったら、結果として自分たちの生活ももう少し余裕を持てるかもしれません。まずは見積もってみて下さい。(→ライフプランに基づくキャッシュフロー表の作り方は後述)
次にこれからの生活のために必要なお金を目的ごとに分けていきます。大きくは?「生活資金」:日常の生活のための資金(公的年金等で不足する分を補うための財源)、?「予備資金」:病気・ケガなど急な出費に備える資金、?「余暇資金」:自分たちの生活を充実させるための資金や子供に残す資金などの3つです。これが前述の、財産を目的ごとに分けておくというものです。少し乱暴な言い方ですが、これができれば基本的には生活設計は完了と言ってもいいでしょう。漠然とした不安がつきまとう原因は、自分たちの財産がどんぶり勘定で管理されていることによる場合がほとんどなのです。後は決めた通りに管理し、お金を使っていくあるいは残すことを実行するだけです。
子供に残すなら生前贈与の併用を
子供に財産を残すという意思が固まっていて、おそらく相続までにはまだずいぶん時間があると思われる場合は相続の準備とともにやはり生前贈与を考えるべきでしょう。