これは新しいタイプのコミュニティービルディングの努力ではないか。要するに、リベラリズムを前提とした上でコミュニティーをつくるとすれば、NPOの中の一番いい部分のような活動というのが出てくるのではないか。これは日本でもそうですし、特にアメリカは熱心です。
悪い面は、西ヨーロッパはどうしてそうなっているのかわからないのですが、西ヨーロッパを唯一の例外にして、最近、宗教的原理主義が非常にはやっています。アメリカでいえば、それはエバンジェリカルプロテスタンティズムという形で出ています。
ラテンアメリカでも、カトリックの影響力が衰えて、エバンジェリカルプロテスタンティズムがはやっています。
日本では、オウムの例を挙げるまでもなく、いわゆる伝統的な宗教団体の影響力が減っているのですけれども、いわゆる新宗教とか、新新宗教とか、ネオ新新宗教とかいろいろいわれるようなものを全部足しますと、日本にメンバーは2億人ぐらいいるらしいです。日本人の総人口より多いのです。台湾でも、韓国でも、中国本土でも、イスラム圏はもちろんのことですが、ある種のファンダメンタリズムが起こっている。これは、従来のコミュニティー、特に従来の宗教組織が影響力を失ったことによる心の中の乾きといいますか、バキュームを埋めるための努力だと思います。それが、極端な場合はカルト的なものになると思います。
だから、やはり人間はそういうものが必要で、NPOにあらわれているようなものが今後も必要なら必ず何かつくるわけですから、私は、できてくるのではないかと、甚だ無責任な根拠のない楽観論をもっています。
○モデレーター ありがとうございました。
○会場 これだけの安全保障問題に関する論客が一堂に会していらっしゃるということはめったにないことですので、非常に簡単に1つだけ質問させてください。
先ほどの先進民主主義諸国の議論に関連してですが、憲法をこう変えたらもっといいシステムができるという話はなしにして、現在の憲法9条の枠の中で、おっしゃる意味での集団的自衛権なり、東南アジア諸国に対する軍事面を含めた協力というのは可能であるとお考えか、それはすべきではないし、不可能であるとお考えになるか、その点だけを質問させていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○モデレーター 代表答弁をどなたか。岡崎さん。
○岡崎 私は代表になりませんので、少数派か多数派かもわからないのですが、私の意見だけを言えば可能でございます。今の憲法解釈と裁判所の解釈のもとで、集団的自衛権の行使はできます。私は、これは裁判所で勝負がついている問題だと思うのです。私は護憲派というのは存在しないのではないかと思います。つまり、昔、憲法解釈で自衛隊は違憲だといったときは、護憲派が、小学校の先生が自衛隊の子供をいじめたりして、憲法を守ったわけです。ところが今度は、裁判所が合憲と決定を下しているのです。自衛権も合憲なのです。それなら、それのいうことを聞かなければいけないのです。ですから、護憲派というものはないので、あれは反安保派、反防衛派なのです。そうでなければ筋は通らない。ということは恐らく、法律的にはもう決着がついているのだろうと思うのです。
○佐藤 憲法9条には、集団的自衛権は違憲であると書いてないのです。