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そういう場合に、日本という国も、やはり経済的にもこれだけ発展した国であるわけですから、そういう中で本当に一体となって、そういう問題について議論し得る国でなければいけないと思います。

先生方がきょう議論した頭の中で、恐らく先進民主主義諸国というのは、ただ政治的に民主主義というだけではなくて、安全保障的な面としても国家としてしっかりした考えをもっている国という意味だろうと思うのです。そのあたりのところを日本にオーバーラップした場合に、これを日本の役割と考えて今言ったような議論が通用するのか。岡崎先生が先ほどおっしゃった集団的自衛権の問題がありますが、そういう問題をクリアせずに、今のままの日本の安全保障の仕組みの中で、恐らくこの役割を果たせないのだろうと思いながら感じていたのです。そのあたり、日本としてはこれからどうしたらいいのか。アジアの安全保障体制の中では、特にどうなのだろう。先進民主主義諸国といえるためには、この点はクリアせよというところがあるのではないか。岡崎先生が、先ほどいっておられましたのは、そういうことかなとも思いますが、ちょっとその点をお聞かせいただきたい。

 

○モデレーター ありがとうございました。

佐藤さん、どうぞ。

 

○佐藤 私は、1970年代から集団的自衛権は当然合憲であるという意見をいっておりまして、そのころは本当にごく少数の人しかいってなくて、私がそういうことをいうと、極端なタカ派、右翼、とんでもないやつという目でみられたものですが、最近は少なくとも半分ぐらいの人は、そういうものに関心がある人は支持するようになりまして、世の中がほんの少しずつですけれども、よくなっていると感じております。

これは当たり前の話で、日本は先進民主主義諸国である。先進国である。経済的に豊かである。これは当たり前です。それから、日本の社会で、リベラルデモクラシーが定着している。これも当然のことです。ですから日本は、その意味では先進民主主義諸国なのです。日本だけではなくて、ヨーロッパも相当いい加減な国がありまして、安全保障について田中さんがおっしゃいましたけれども、ろくに考えてない国がヨーロッパにいっぱいあります。ですから、日本だけが特に悪いわけではないのですけれども、その点では日本も相当によくない。もっとしっかりと考えなければいけない。

そのときに、もちろん国によって得意、不得意とか、能力とかいろいろありますけれども、やはりやることはやる。しかも、日本一国でやるのではなくて、ライクマインディッドな国と一緒になって必要があれば断固やるというのは当然のことではないでしょうか。その当然なことがいつ実現できるか。私は、それほど遠くない将来に実現できるのではないかといまだに楽観しています。少なくとも私が生きている間には実現するのではないかと思っています。

 

○会場 田中先生に対する質問なのですけれども、コミュニティーを再建する必要があるとおっしゃっていらっしゃるのですが、私の質問は、先生はどういう意味でこのコミュニティーというものをとらえていらっしゃるのだろうかということです。質問の裏にある小異をつっつくようなことですけれども、中世では、ご存じのコミュニティーというのはもう完全な、特にヨーロッパの場合、画一社会、全体主義社会で、カトリシズムを除いてはコミュニティーを語ることはできなかった。

 

 

 

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