質疑応答
○モデレーター 何か異論がありますか。なければ、今まで皆さんに議論をお聞きいただきまして、この点について意見があるとか、あるいはこの点をもう少し聞きたいとか、お考えがおありだと思いますから、会場の皆様からひとつ問題提起なりをしていただいて、さらに議論を進めていきたいと思います。どなたかありませんか。
○会場 先ほどのご議論、大変興味深くお聞きしたのですが、先進民主主義諸国の間では戦争がないということについて詳細に勉強しているわけではありませんが、これを唱える人々が防衛努力をしなくてもいいという議論と絡めているということについて懸念をもっています。
先ほどの議論でも同じかと思いますけれども、民主主義諸国といわれるところは、兵器の質、量ともに世界で上の方に属しているところでありまして、情報公開も進んでおりますし、対話も進んでいるということで、コンピュータの中では、実際に戦わせているかどうかわかりませんけれども、しょっちゅうシミュレーションが行われているという事実は否定できないわけでございまして、民主主義諸国の中で戦争がなかったという事実で、民主主義諸国であるから戦争はないという理由にもっていくというのは非常に疑問が残るということであります。
民主主義諸国には大変な情報を獲得努力をする中で、パワーバランスについて確認しながらやっている点があるだろうと思います。その点は、いかにしてパワーバランスを保っているかによって平和が保たれるということとかかわる問題でありまして、ソ連とアメリカが戦争しなかったというのは、パワーバランスを常々確認しながらやってきたということだろうと思います。そういうことで、民主主義諸国の中では戦争がないということで、努力をしないということとは分離して分析されるべきではなかろうかという感じをもっております。
ありがとうございました。
○モデレーター ありがとうございました。
今までの議論でも、安全保障面におけるあらゆる努力を怠る、必要がもうなくなったという議論ではなかったと思いますけれども、今、ご意見伺いまして、大変貴重なご意見だろうと思います。何かありますか。
○田中 これもまた小異を拡大するようなことかもしれませんけれども、私も半分ぐらいは民主主義諸国が戦わないというのはそうだろうと思っています。ただ、私自身は防衛努力をしなくていいと言ったつもりは全くないのですが、世の中にはそういう人はままいらっしゃいます。ただ、アメリカで民主主義諸国同士は戦わないという議論をしている人がアメリカの軍事力をなくしていいと言っているのは余り聞いたことがないのです。どちらかというと、それはややこの国に特徴的な現象ではないかという感じがしています。