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小和田恒 国連大使講演会

「国連PKOの最近の動向」

平成9年9月9日、於ホテル・オークラ

 

PKOの在り方の変化

1948年から行われているPKO活動は地味なものであったが、冷戦終了後、紛争の性質が国家間のものから、failed stateや内乱に関わるものへと変化し、PKOも新しい衣をまとって再登場した。その在り方の変化としては、?選挙監視、地雷除去、人権確保など任務が拡大・多様化し、?UNHCRやユニセフなど人道に関する活動の保護が加わり、?予防展開制度ができ、?非軍事的事項が重要となり、?規模が拡大し、コストが増大し、その手当てが問題となってきた。

PKOの任務の変化

これに伴い、任務も変化し、?対象が複雑化し状況もそれぞれ異なるので、構成や大きさ等どう活動を進めたら良いかの熟考が重要となり、?達成しうる目的や、任務、期間を考える必要があり、?受け入れ国の支持が重要となり、?文民警察等非軍事部門の訓練が重要となった。

PKOが抱える問題

こうした変化の中で深刻な問題や課題も出てきており、?ボスニアでの活動のように人道援助活動の保護をすることが結果として人道援助活動をできなくしており、?人道保護も含むため和平プロセスの一環として行われることが重要となり、?コストが増大し全部には対処できないためどの案件を選択するかが必要になり、?地域機構とどういう関係を構築していくかが課題となった。

日本はどう対処すべきか

日本にはどの活動まで参加できるかという問題はあるものの、PKOの非軍事的役割が重要になってきており、現在の日本でもやれることは多い。どの程度までやるかは、国民や政治の判断による。ただし、文民の役割が大きくなるため、要員の保護をどう図るかが課題である。

安全保障理事会問題

今後半年から1年ではっきりしてこようが、現段階では余りにも未確定な要素が大きい。はっきりしているのは、?改組して、力があり実効性のある組織とすることにはコンセンサスあり、?改組により常任、非常任理事国を増やすのであれば、日本、それに次ぎ独が入ることは大多数の国がOK、?日本と独以外をどうするかで意見が全くまとまらない。

 

 

 

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