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イブをとって、エイジャン・デイベロツプメント・ファンド、アジア開発基金というのを設けようとしたわけですけれども、もっと世界的な問題として扱う必要がありますので、今のままで果た、していいのかどうか。

例えばアジアの場合も、今度、いろいろとコンタミネートしたわけですけれども、中国で起こった場合にどれほどのインパクトがあるかという点から、国際的な金融の新しいシステミツク・リスクを抑えるとか、更に、アーリー・ウォーニング・システムを作る、そういうシステムが絶対に必要になるというのは、OECDでも徐々に考えだしていることなのです。

○司会  ありがとうございました。ミラー先生、どうぞ。

○ミラー  小島先生の指摘された点はとても興味深いものです。IMFはインターナショナル・マネタリー・フェイリアーであるか、失敗かどうかということでした。メキシコの危機の後考えられたのは、エマージェンシー・ファンデイング・ファシリティーというものを設立し、将来の似たような問題に対応すること、そして、早期警戒をするということです。タイの場合には、日本がそれをやりました。

ジェフリー・サックスが、今日の「ファイナンシャルタイムズ」で指摘していますが、アジアの問題はファンダメンタルズの危機ではなく、セルフ・フルフイリングな短期貸し付けの引き上げによって生じた危機です。他の投資家がその債権を引き揚げたことを投資家が認識したことによるものです。ですから、IMFはこの問題の特徴を認識することに成功したようには見えません。先にも言いましたように、1,000億ドル程度のパッケージを迅速にまとめ、その3分の1は自らの資金です。現在、アメリカがファシリティーを拡大することに反対しています。ですから、IMFというよリアメリカがもたつかせているわけです。では、それは何故でしょうか。ジェフリー・サックスは理解していないようですが、それらの多くの国における金融システムに不透明性があるからです。IMFは、今までずっと強調してきましたルールのひとつを破りたくないわけです。そのルールとは、インソルペントに陥っている銀行には資金を投入しないということです。IMFは、インソルペントな金融システムに資金を投入することを危惧しているわけです。しかし、危機に際して、とれがソルペントで、どれがインソルペントかを区別するのは非常に難しいことです。ですから、IMFは、問題が起き得るかどうか、また、良いところと悪いとこをを区別し易くするため、それらの国の金融システムをより透明度の高いものにすることを求めるわけです。

今回の危機で提起された問題は、アジアの奇跡をもっと透明度の高いものにしていかなければならないということではないかと思います。そうしないと、奇跡もメルトダウンしてしまうという危険があります。

 

 

 

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