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そうすると、ここで2つの対応が出てくるわけです。1つは、マハティール首相のように、投資家はけしからん、マーケットはけしからんという対応です。もう1つは、ジョージ・ソロスのように、これがマーケットだという対応です。恐らく、アジアの国々がマーケットのカにどのように対処するか、つまり、マーケットの逆襲にどのように対応していくかという点が、グローバライゼーションに対する当面の政策を考える上では、私は大変重要になってくるのではないかと思います。

○司会  ありがとうございました。

マーケットの逆襲という大変怖いお話が最後に出てきましたけれども、我々のセッションでの1つの議論としては、そういう状況の中でリーダーの役割というものが非常に強調されたということが印象に残っているわけです。これからの様々な問題についても、やはりリーダーの指導力ということが、いろいろな側面において欠かせない重要性を持っていると考えます。日本を含めアジア全体がそういう大きな課題を抱えているという状況の中で、今皆さんお聞きのような討論・議論が展開されたということになります。

あと30分ぐらいしか時間がございませんけれども、お集まりの方々の中に、これらの問題について非常に深い造詣をお持ちの方がたくさんおられますので、その方々の参加も得て、さらに残りの時間の討論を進めてまいりたいと思います。

どなたでも結構ですが、もしマイクをおとりいただければありがたいと思います。アイケンベリー先生、どうでしょうか。

○アイケンベリー  私の方から、あえてつけ加えることはないと思います。

○司会  先ほど小島さんの名前が出ておりましたけれども、もしお差し支えがなかったら、小島さんにお願いできますか。

○小島  日本経済新聞の小島です。

貿易と資本という面でグローバル化をみますと、ガットのシステムにより、第2次大戦後、モノの面でのグローバル化というのは先に進んだわけです。そのとき、資本の面は固定相場で管理していたわけです。グローバル化が全体的に進む中で資本もどんどんグローバルになってきたということなのです。議論にも出ましたけれども、今日のアジアの金融危機ですが、例えば、IMFのカムドウシュ専務理事は、21世紀型の金融危機であるという言い方をしています。それはグローバル化した経済の中で起こった金融危機、通貨危機であるということです。

それを具体的に解釈してみますと、例えば、メキシコの危機までは、あるいはそれ以前は特定国、一国の国際収支混乱が起こったときにその国の経済が危機になって、IMFが短期の支援をしました。それによって、その危機はその

 

 

 

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