ることの理屈の一つになるかもしれません。これらが討議された点です。
これらの点に関しましていろいろと議論が出てくると思います。
○司会 最後の点は、日本の国内で議論されている最も大事な点で、また後ほどフロアの方にご意見いただければと思います。次に、竹中さん、今までのパネルメンバーの報告を聞きながらコメントをいただけると思いますので、お願いします。
○竹中 慶応大学の竹中です。
大変興味深い、かつ格調高い総括をしていただきましたので、ぜひ日本のエコノミストの立場から短くコメントさせていただきたいと思います。
我々は、グローバライゼーションという言葉を日常茶飯事使うわけですけれども、一体何を意味しているか、これをもう一度考えようというこの会議の出発点は非常に適切であろうかと思います。実は、そのつもりで『グローバライゼーション』という本の検索をしておりましたら、このタイトルの本が1冊あるということがわかりました。その著者が何とこのフロアに来ておられる小島明さんでいらっしゃいまして、ひょっとしたら後でコメントがあるかもしれません。
恐らく、グローバライゼーションという言葉を解釈すれば、モノやサービスだけではなくて、生産要素が国境を越えてボーダーレスに動くというのが1つの重要なポイントでしょう。もう1つは、企業、消費者、さらには政府といった経済主体が地球的な戦略を元に行動するようになっていることです。ビヘイビアも変わりました。恐らく、この2つが一応め表面的な解釈であろうと思います。
ただ、重要なのは単にグローバライゼーションが何であるかではなくて、グローバリゼーションの今日的意義です。今申し上げたようなグローバライゼーションに加えて、その背景で、今我々が直面している世界経済に新たな動きが同時に進行しているという事実が重要ではないかと思います。恐らく、それは2つあるのではないかと思います。
1つは、市場経済というものが世界規模で拡大しているという時代認識だと思います。これはマーケットエコノミー、市場経済とは何かという定義によりますけれども、ややラフな定義ではありますが、私の認識では、10年ぐらい前には、地球上でマーケットエコノミーの中に暮らしている人間は27億人ぐらいしかいなかったと思います。しかし今、この数は恐らく56億人となり、10年間でマーケットエコノミーのサイズが人口で測って2倍になりました。そういった規模の拡大、マーケットの拡大というものが1つの重要な要素でしょう。これは、我々にとってはある意味で可能性が拡大したということでもあるし、