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今お聞きのとおりに、第4セッション、貿易、投資、あるいは金融サービスとの関係において、いかなるトレーデイング・システムが望ましいのか。また今後、WTOがどのような役割を果たすべきなのか。あるいはウルグアイラウンドという長丁場の交渉が終わったばかりですけれども、また、ニュー・ラウンドを必要とするかどうかという問題が議論されたわけです。最後にドクター・ウォーリーがおっしやつたように、貿易とフアイナンシャル・サービス、マネタリー・システムのリンケージという問題は、最近のアジア情勢からみて緊急の課題であるという観点から、これはほぼ全てのセッションで取り上げられましたので、それに関し、特に多くの発言をしていただいたドクター・ミラーからコメントしていただきたいと思います。

○ミラー  グローバルな資本市場、そして金融危機の波及ということを取上げたいと思います。

1930年代の例が示すように、金融崩壊により貿易が崩壊することはありえます。グローバライゼーションによって、貿易と投資の流れが増大するとともに、資本市場が自由化されました。しかし、谷口先生が強調されたように、資本市場が、そして金融危機などの問題をなげかける可能性はあります。

私は大学におりますが、この数ケ月IMFで仕事をしてきましたので、特に今回のアジアの件について非常に興味があります。IMFのペーパーでも、各国間の波及を取上げ、そうした波及の3つの特徴をあげています。最初は、極東における金融面での不透明性という、危機の共通要因です。特に銀行部門における問題の隠匿です。2番目の特徴は、国から国へと移っていくスピルオーバー傾向です。東アジアの特性をみると、近隣諸国がデヴァリュエーションを行い、自国の需要が他にシフトするとともに、自国の通貨はオーバー・ヴァリユーされることになります。3番目の特徴は、伝染性のパニックです。東アジアの特徴として、人々が突然驚いて逃げていくということがあります。ヘッジファンドがアジアから逃げていきました。

コンファレンスで提起されたのは、グローバルな経済機関の役割はどんなものであるかということです。我々は、グローバライゼーションにフいて、どのような国際機関構成が必要かを討議しました。ウォーリー氏は、WTOとガットについて触れましたが、IMFや世銀の役割についても討議がありました。IMFは2つの役割を果たしてきたわけでありまして、1つめは資本取引の自由化の促進者、2つめは、レンダー・アズ・ラスト・リゾート、最後の貸し手です。そして世銀は、自ら資金の貸し付けもし、資金の貸し付けの幹事のような役割もします。これまで、IMFは自らの資金で約300億ドル投入しています。そしてその他を含めた合計でインドネシア、韓国に約1,000億ドルほど投入されました。19世紀にできた、そのような危機の際の貸し付けのルー

 

 

 

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