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融危機と貿易のルール・体制と関連する問題が提起されました。非常に厳しい危機的な状況が発生すれば、結局、貿易体制にも圧力を与えるのではないかという懸念があり、再度、1930年代の状況と似ているのではないかということが討議されました。

その後も活発な議論が続いたわけですが、貿易の自由化と資本の自由化は非常に異なる、との指摘がありました。IMFが枠組合意の一部として、東アジア各国に対し、資本の自由化を主張したのは良くなかったのではないかということが示唆されました。

また、東アジアの現状に対する日本の対応も取上げられました。政策スタンスとして、日本の金融機関が東アジア諸国から資金を大量に引きあげることは適切ではないとのことでした。更に、日本の金融機関が、北アメリカの資本市場、特にTBに圧力がかかってもそのままにしておくことは覧明である、との指摘がありました。

次に議論はまたWTO関連事項に戻り、金融との関係が討議されました。リーダーシップが重要であるとの指摘がなされ、更に深い討議が必要であるということになりました。

更に、相互主義的な交渉が再度取上げられ、ウルグアイラウンドのような幅広いパッケージ・アプローチによるものとは別の、かなりの自由化が、WTO体制の下でも進められてきた事実が強調されました。このコンテクストで、電気通信関係の合意、情報技術関連の合意が取上げられました。更に、新しい情報技術ツールに関する合意の可能性に関する議論がありました。

結論として、貿易体制がどこに向かっているのかが不確実なのは明白であり、現在の貿易体制に対して今後どんどんプレッシャーがかかってくる可能性がありそうです。しかしながら、1947年からこれまで50年間に相当の貿易量の伸びがみられたわけであります。また、討議の中でほぼ得られたコンセンサスとして、この体制からかなりの利益を得ることができた国のひとつは日本ではないかということです。いろいろな障壁や圧力があったとしても、トータルにみればMFNシステムにより、日本にとっては市場が開放され、そしてかなり輸出が伸びたのではないか、特に、1960年代から1980年代にはそうだったということです。

いずれにせよ、このような形の開放された市場を維持し更に改善していくことへの関心が、関係各国にあります。ですから、グローバライゼーション、ボーダーレス・エコノミーが示す方向の中で、更に統合を進める必要性が注目されるでしょう。これに伴う困難、課題もありますが、今回の討議はこれに貢献したものと思います。○司会ありがとうございました。

 

 

 

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