しかしながら、将来のラウンドは、貿易障壁をなくしていくための体制の中心であるとしました。更に、途上国の役割を強調するとともに、リージョナリズムについても言及しました。
このペーパーに対しては、3人のデイスカッサントがおり、最初のディスカツサントは途上国の見地から環境問題を指摘し、さらに途上国が交渉のためにもっている切り札が、今後予定されているユニラテラルな自由化によって、だんだんと目減りするのではないか。そうすると、速やかに、できるだけ早くこういった交渉ラウンドを求めていき、その過程の中でリーダーになるべきではないかということが指摘されました。
2人目のディスカッサントは、今までのラウンド交渉におけるような広範囲のアプローチではなく、分野別アプローチを強調しました。指摘があったのは、最近決着した電気通信交渉です。これはクロス・アレンジメントでなくても、つまり、他の分野に対しての取り決めとクロスさせなくともうまくいったわけです。
更に、将来の交渉においてカナメとなっていく問題が、殊に途上国が関する限りにおいて、指摘されました。まずは、シークエンスの問題です。資本規制は、モノの自由化が終わった後に、自由化すべきかどうかということです。つまり、自由化には、政治経済学的な考慮が入ってくるわけですが、ユニラテラル、マルチラテラルな自由化に伴う調整の痛みにどう対応するか、ということです。次は、自由化に際しての、制度・機構面での問題です。これも、特に途上国に関してです。強力な中央銀行や法体制の必要性が指摘されました。また、途上国における成長の必要性についても強調されました。更に、アジア諸国の観点からの日本の役割の重要性と、日本市場の開放と日本の輸入の増大の必要性が指摘されました。
3人目のディスカッサントは、3つの点を強調しました。?まず、リージョナリズムの台頭についてです。ペーパーでも触れていますが、これがさらにWTOを強化するのか、それともそれを弱体化させるものであるのか、という問題です。?2つ目には、WTOの自由化の課題項目のうち、どれが相互主義的交渉というWTOの枠組みの中にぴったりおさまるか否かの問題です。そして、ハーモティゼーションと、より伝統的な手法によるものを区別すべきと示唆しました。?更に、WTO体制におけるリーダーシップの重要性に触れました。リーダーシップが体制の安定性にどこまで影響するのか、また、危機が貿易体制の破綻につながるかどうかを指摘しました。1930年代における問題を指摘しながら、貿易体制はリセッションに耐えうるのかとの問を提起しました。その後、一般討議となりましたが、そこではまず、貿易と金融・通貨の関係---これは、最近のアジアの金融危機で明白になったことですが---や金