いようになりました。
第2に、社会的一体性のこれまでの国際的な影響として、国内のレベルから(欧州)地域のレベルに移行させることにより、一体性が促進されるかどうかは、まだ結論のない間題です。いわゆる「ヨーロッパの社会的モデル」あるいは「ヨーロッパの社会同盟」は、この方向に向けて努力しています。それは、雇用の創出、ヨーロッパ労働基準の策定、労働移動の自由化、労働組合の経営参加などによろうとするものです。
というわけで、社会的一体性について、非常に複雑な問題であるということは先ほどからも申し上げているわけですけれども、哲学的にも、政治的にも、経済的にも、そして小堀先生のおっしゃるように社会心理学的にも、様々なディスカッションが行われているわけです。そういうことから考えますと、世界平和研究所の選んだ今回のテーマというのは、我々の今後の社会を考える上で非常に大事なテーマだったということがわかるわけです。ヨーロッパのみならず、日本にいても非常に大事なテーマです。この問題に関し非常に活発な議論が行われ私どもは依然として混乱しているけれども、混乱のレベルはハイレベルだということを申し上げておきます。
○司会 ヴァイゲルトさんが今おっしやつたように、議論をすればするほどコンフューズしてくるという状況でありましたけれども、余り知識をもたない状況でのコンフュージョンと、ある程度議論を煮詰めた上でのコンフユージョンというのは明らかに違っているわけで、そういう意味では大変内容の濃い議論であったということがいえます。
今のご報告でおわかりいただけますように、ソーシャル・コヒージョンを考える場合に一番の問題は、結局はエンプロイメントの問題ということになるわけで、エンプロイメントが確保されればポバティーの問題もなくなってくると思います。そうすれば、ソーシャル・コヒージョンの問題に対しても対応できるということになります。そうすると国際経済がどのようにうまく機能するかということが、もう1つ大事な側面になってきます。そういう意味で、第4セッションの国際貿易システム、あるいは国際貿易面、投資面における国際協力の仕組み、それに関する議論が非常に重要な意味をもってくることになるだろうと思います。
そこで・第4セッションの報告をウォーリー先生にお願いしたいと思います。
○ウォーリー ありがとうございます。
第4セッションでは、まず背景説明のためのペーパーを提示しました。タイトルは、「WTOにおける将来のラウンド」というものです。実際の発表と討議はそれよりもう少し広範なものになりましたので、全体の議論について報告した後で、将来のラウンドの問題に戻りたいと思います。