その際生じうるリスク、問題としては、例えばドイツの場合ですけれども、道義的な問題や、官僚機構の硬直化、あるいは社会制度のために余りにも高額な課税をして、国民に受け入れられなくなることなどがあります。ですから、社会的一体性、市場経済、社会的責任、競争、連帯、個人のバーフオーマンス、そして社会的支援の間のバランスに大きく依存します。こうしたバランスが、国内のレベルにおける社会的公正・平和の基盤となります。
昨日討議した問題は、第1に、政治的な課題として、グローバライゼーションの中における社会の一体性を如何に実現していくかということです。第2に、また、国内の社会均一体性は、国際的な社会にどのような影響を与えるかということです。
第1の点については、グローバライゼーションというのは、国内における一体性の脅威となるものではないと思います。しかし、かなリシビアな挑戦課題です。所得分配、失業、社会的なマージナライゼーション・社会的排除つまり貧困にも影響します。我々は、市場の開放、競争の促進、職業再訓練、税制・年金の改革、労働市場の柔軟性の確保(特にドイツの場合には、これは大きな問題になっています。)などの問題に対応する手段について討議しました。更に、特に中小企業に対する官僚的な障壁の除去の手段について議論しました。これらに応えていくことが、グローバライゼーションの課題に立ち向かうために必要です。
経済の開放と福祉国家は、手をとりあって行かなければなりません。一方、国民国家というのは、社会的一体性が関係してくる限り、どの国でも同じような間題が台頭してくるわけです。このため、国境を越えたネットワーク・つながりの中で、国際的な比較検討・国際協力が可能であり、また必要です。各国は、それぞれの社会的、経済的問題に対する取り組み方や状況は違いますが、取り組むべき問題は似ているからです。
私どもはドイツの問題を取上げ、私から、ドイツの社会制度の状況を若干説明しました。ドイツは特別なケースです。何故なら、ドイツが再統合され、国内での規制の問題がかなり発生しました。これは私の論文にも書いてあります。しかしながち、ドイツの市場経済は依然として成功をおさめています。私どもの社会制度の4つの柱は、世界の中で最も進んでいるものと思います。その4つの柱は、?国の失業保険と失業給付、?貧困を排除するための住宅手当、衣料品あるいは耐久製品に対する補償などの所得支援、?健康保険とここ数年でできた介護保険、?国の年金制度です。
しかしながら、余りにも行き過ぎているというのが問題です。その結末として、まず、ますます制度維持のための税制が厳しくなり、制度を維持するために約1兆DM以上投下しています。そして、国民もこのシステムを受け入れな