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らないのかを話し合いました。アフリカ大陸を全く無視して、人道的、政治的な側面からだけではなく、経済的その他さまざまな側面でみても失われた大陸とすべきではありません。幾つかの見解が示されました。ODAは今では減少しており、私たちは将来的にODAの大幅な拡大は期待できないということですから、このように限られたODAを如何にして効果的に活用し、アフリカの各国、より貧しい途上国の経済を手助けするかが課題となります。そのためのさまざまな方法がありますが、私があくまでも主張しましたのは、アフリカは自助努力をすべきである、ということです。これは、DACのドナー国の一般的な考え方であります。それとともに、自国の経済を市場システムにのっとって改革しようとしており、経済のインフラの向上に向けて努力している国々をまず最初に手助けしていくべきです。そして、そのような効果的なODAの活用からの波及効果も当然あると思います。また、アフリカの各国の間の地域協力は、最も貧しい国々でさえ、南から南への協力の方が、元宗主国と元植民地との間の協力関係より効果的でしよう。更に、人的資源の開発と成長を促進していくための投資や、NGOの役割、参加型の開発なども重要です。それに加え、グッド・ガバナンス、腐敗のない政府ということも、アフリカの開発において重要です。

いずれにせよ、我々は、いかにしてアフリカの経済発展を再活性化していくべきなのかということについて討議しました。そして、アジアとアフリカのモデルを比較し、如何にしてアジア・モデルを適用することができるのかということを話し合いましたが、そちらの方については、時間が余りありませんので、割愛させていただきます。

なお、最後に、私たちはアジアの金融危機について討議しました。OECDにおいて、我々は資本市場の自由化を図ってきました。1994年に、OECD、更にNAFTAに加盟する過程で、メキシコは急速に資本市場の自由化を図りました。そして、その直後に金融危機が起きたわけです。新興国の経済が、金融市場の変動に対して、如何にして対抗していくことができるのかということを示す例だったと思います。急速に自由化を進めていく際に、金融市場の開放と通商の開放というのは全く異なったものです。これは広くコンセンサスとしてもたれている意見ですが、残念ながらアジアは今、金融危機の下で苦しんでいます。このような新興諸国における金融危機を回避するためのIMFの役割などを討議しました。余りにも急速に自由化を進めた際には、当然、そのような劇的な変化に耐え得る金融市場インフラが十分に形成されでいないわけです。早期警戒システムによって、IMFの国際的な役割を強化していくことに注意を払うべきです。

OECDは今、多角的な監視機構を提唱しています。如何にして危機を回避

 

 

 

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