のサハラ以南の国々については、2020年まで大体5%の年間平均成長率を見込むことができます。しかしながら、1人当りの所得については非常に低いままです。OECD各国の1人当りの平均所得の大体8%程度にしかなりません。年間5%の成長率をみせたとしても、1人当りの所得は、2020年の段階でもOECD各国の3万4,000ドルに対し、1,700〜2,000ドルくらいがサハラ以南のアフリカの各国において最大限見込まれる所得水準といわれています。
このケースでは、グローバライゼーションの下で急速な変化の過程で、所得の格差がさらに拡大するわけです。不幸なことに、より貧しい国々はマージナライズされてしまう。けれども、幸運な途上国の経済は、グローバライゼーションを通じて、貿易の拡大、そして多額の投資、特に民間資本からの投資をOECDの各国から受けることになり、更に大きな恩恵を受けることになる。これが、私が言うところの光と影です。
これに対し、一体我々は何を成し得るのでしょうか。実際、8つほど幸運な途上国経済を挙げることができます。中国、インド、インドネシア、ASEAN各国といったアジアの主要国、中南米の、例えばブラジル、アルゼンチン、チリ、そしてまた南アフリカといった国々を挙げることができます。これら所謂ピボッタル・ステート、軸となる国々では、ODAに加えて民間の資本も流入することになります。それに引き比べ、アフリカの国々は、民間資本を引きつけるチャンスがない。これこそがグローバライゼーションの中において取り残され、マージナライズされていくということの大きな原因の1つになってまいります。
ではこれをどう阻止できるのでしょうか。いずれにしても、OECD諸国のODAは余り大きく拡大していません。過去10年間のDACの統計によりますと、ODAの額は変動していますが、横ばい、更には伸び悩んでおり、実質でみると減少しています。1987年においては、ODAは民間の資本よりも大きな役割を果たしていました・当時は、民間資不がODAのおよそ3分の1程度でした。1995年の段階でODAは依然として横ばい、およそ500億ドル程度というところで推移していますが、民間の資本の流入は、今ではODAの3倍ほどにも孝っています。
ですから、民間の資本の恩恵を受けているアジアの国々、中南米と南アフリカの新興国は、民間とODAのいずれの資金の流入を受けている一方、アフリカの多くの国々はODAしか頼るものがないながらも、ODAは衰退してきている、ということが深刻な問題となっています。この問題をどうやって克服すればいいのでしょうか。
討議では、私たちはなぜアフリカを手助けせねばならないのか、また、そういったマージナライズされた、周辺化された、取り残された国々を助けねばな