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のかというかなり基本的な問題と、それに対する具体的な方法論を討議しました。特にその場合の対象としては、サブサハラのアフリカの国々をひとつにはイメージしているわけです。21世紀には、低所得国との間の経済格差がさらに拡大するということを懸念しているわけです。

キーワードの3つ目は、いわゆる「ソーシャル・コヒージョン」です。これは一般的には、社会的一体性ということです。非常に俗な言葉でいうと、向こう三軒両隣のおつき合いという意味ではないかと思います。これは、もともと社会心理学の社会的擬集性というのが日本語の学術的な訳であるようです。結局、社会的な信頼感とか帰属意識というものが中核になっているわけで、今回は先進国の中でドイツのケースについて報告していただき、いわゆる先進国問題の1つとして議論いたしました。

それから、4つ目のキーワードの「WTO」です。端的にいって、WTOになって何が変わったかという問題意識と、21世紀を目前に控えて、国際貿易、投資における政治的関心は、かつてのウルグアイラウンドのときのような熱気をもってWTOに向けられているのだろうか。あるいは、地域主義というものがたくさんみられるわけですが、地域主義の方に関心が移る可能性があるのだろうかという問題です。あるいはグローバルな、多角的な自由貿易体制の維持・強化というもののモメンタムを一体維持できるのだろうか、できているのだろうか、それに対してWTOの組織は応えられるのだろうかという議論をしました。

次に、グローバライゼーションの2つの切り口を簡単に申し上げますと、1つは、貿易とか直接投資のグローバライゼーションと金融のグローバライゼーションが今、同時並行的に進んでいるわけです。その中で、東アジアの金融資本市場の大きな変化が今起こっているわけで、そこが現在の大きな問題ということが1つです。もう1つは、グローバライゼーションの進行と国内社会の安定性との間に、一種の緊張関係ができつつあるという問題意識です。

このような形で今回、グローバライゼーションという大きなテーマについてアプローチしました。

以上であります。

○司会  ありがとうございました。今、小堀さんからは、2日間にわたる私どものコンファレンスの総括的な報告をしていただきました。このように、規制改革の問題、マージナライゼーションの問題、ソーシャル・コヒージョンの問題、それから世界のトレード・システムの問題、それに関連する最近のアジアにおけるファイナンシャル・クライシスの問題についても、専門的な立場から様々な御議論をいただいたわけです。今の総括的な報告を裏づける、いわば各論的な報告を、それぞれのセッシ

 

 

 

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