第10章 福利厚生・年金
1 公務員の保険福祉
すべての公務員は保険に加入することが義務づけられている。保険には公務員を対象とし、公務員の子女の誕生・養育、障害、廃疾、老後、死亡、親族の死亡に対する葬式料をカバーする公務人員保険と、公務員を含むすべての台湾民(ただし、軍人等を除く)を対象とし、医療をカバーする全民健康保険がある。全民健康保険は1994年に新たに導入された保険である。1994年以前は公務人員保険が医療もカバーしていたが、全民健康保険が導入された以降は、医療については全民健康保険がカバーしている。
(1) 公務人員保険
?@所管機関
詮叙部が所管機関。詮叙部には保険業務の監督を行うため、公務員退職補償基金監理委員会が設置されている。実際の保険業務、資金の運営・管理など保険引受け業務は中央信託局が実施しており、保険基金の収支は同局が責任を負う。ただし、赤字が生じた場合には、財政部が補填する。なお、中央信託局は、保険事務のための費用を保険費用総額の5.5%以内に抑えなければならない。被保険者数は約58万人。
?A掛け金
保険の掛け金は保険俸給(俸給月額を100元単位で丸めた額)の4.5%から9%までの間で、考試院及び行政院が定めることになっている。1997年の時点では掛け金率は4.75%に設定されており、近々6.4%程度の引き上げられる見込みとなっている。
この掛け金額の35%を職員本人が納め、残りの65%は政府が納める。ただし、兵役に服するため休職となっている期間中は、全額政府が負担する。また、30年間掛け金を払い続けた場合、それ以後は、職員本人は保険料の払い込みを免除される。
?B保険によりカバーされる事項
・ 被保険人の廃疾に対する補償
全廃疾 公務上災害36カ月分の保険俸給、公務外30カ月分
半分廃疾 公務上災害18カ月分の保険俸給、公務外15カ月分
部分廃疾 公務上災害8カ月分の保険俸給、公務外6カ月
・ 老後一時金 5年以上保険料を納めていた被保険人が法律に定める事由により退職する場合には(従って法に基づかない自己都合退職は含まれない)、保険料を納めていた期間に応じ、以下の老後一時金が支給される。