第2章 中央人事行政機関
1 考試院
(1) 所掌
台湾憲法により、考試院は国家最高の考試(試験、選考を意味する)機関と位置づけられており、試験を始めとする公務員の任免、給与、昇進、報償、保障、手当、退職、勤務評定などの事項を所掌する。また、考試院は国家の試験機関として、医師資格試験などの職業資格試験も所管している。なお、以前は検定試験(独学の者に学卒の資格を与える試験)も考試院が所管していたが、1996年から同試験は廃止された。
(2) 構成
憲法は、考試院に院長、副院長各1名、考試委員若干名を置く旨規定している。考試委員の定数は、考試院組織法により19名となっている。院長、副院長、考試委員は総統が、国民大会の同意を経て(1994年以前は、監察院の同意を経ることになっていた。)任命する。院長、副院長、考試委員は、党派を超越し、法律に基づき独立して職権を行使しなければならない旨憲法に規定されている。
院長、副院長、考試委員の任期は6年。実際には65歳程度まで、2期在職する例が多い。現在の考試委員は第9期考試委員で、1996年9月1日の就任時は19名(うち、女性は2名)、1997年7月の時点では17名となっている。現在の院長は、許水徳氏(前職は国民党秘書長)、副院長は関中氏となっている。
考試委員の資格要件としては、以下のいずれかの要件を満たすことが定められている。
・ かつて考試委員に任ぜられ名声の優れた者
・ かつて典試委員に任ぜられ貢献度の高い者
・ かつて大学教授を10年以上勤め、名声が優れ、専門著作のある者
・ 高等試験合格後20年以上経過し、かつて簡任職に満10年任ぜられ、かつ俸給額が最高額に達し、勤務成績が優れ、専門著作のある者
・ 学識豊富で著作があるか又は発明をしたことがあり、若しくは政治経験があり、名声の優れた者
(3) 考試院会議
考試院には考試院会議が設置され、政策の決定、重大事項の決定にあたる。考試院会議の構成メンバーは、院長、副院長、考試委員の他、考試院の下部組織である考選部の長、詮叙部の長、公務員保障.訓練委員会の主任委員で、院長を議長とする。