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このように異動を強制する最大の理由は、長期に在任することによる癒着を防止することであり、癒着の可能性があるポストの在任可能期間は比較的短期に設定されている。なお、上記の異動基準、特に中間管理職員の異動基準は最近制定されたところであり、実際には規定どおり運用されていないようである。

異動を円滑にするための措置としては、たとえば次の2つがある。

・ 軍に勤務するため一般公務員を離職した者が、滞りなく軍務を終え、離職前の省庁に復帰を希望する場合には、軍務終了後180日以内に復帰することができる。その場合、離職前及び軍務在職中の勤務年数は離職手当及び年金計算の際に参入される。

・ 内閣の承認を得て、年金及び離職手当計算において不利にならない職に就くため公務を離れた場合、4年以内に公務に戻る場合には、人事委員会が定める規則・手続に基づく給与額で官職に復帰する。

 

5 昇進

(1) 昇進の仕組み

昇進とは官職分類における等級が上がることを意味する。昇進資格を得るには、昇進試験を経なければならない場合と選考による場合がある。選考では、学歴要件、勤務年数、関連する職務経験、特定の資格要件、給与ステップなどを満たす者の中から、職員の知識、能力、行動、勤務成績を考慮して昇進候補者を決定する。

昇進候補者の選考に際しては、選考委員会が設置され、昇進候補者のショートリストを作成し、任命権者に提出する。選考委員会は、当該昇進対象となっている官職の上司、当該官職に関する知識が豊富な同等又は上位等級の職員、当該局の人事小委員会の代表の少なくとも3人の委員から構成される。

同一の職種内の一定の等級までは、採用等級・有している学位に応じて、官職の異動もせずに、同一の官職に在職したままで、選考により昇進することができる。この方法により昇進できる職種のグルーピングをDeep Class Seriesと呼ぶ。たとえば、高校を卒業し、 1級で採用された職員は3級まで、学士号を有し、3級で採用された職員は5級まで、修士号を取得し、4級で採用された職員は5級、医者の資格を有し4級で採用された職員は8級までは、同一の官職のまま、昇進試験を経ることもなく、選考により昇進することができる。

Deep Class Seriesを超える昇進については、6級までの昇進は昇進試験により、7級以上の昇進については選考により行われる。また、いわゆるラインの職員については、昇進試験にパスするなどして昇進資格を有していても、実際に上位等級の空席ポストに就任しないと昇進できない。一方、専門スタッフについては、上位の等級のポストの空席の有無にかかわらず、下位等級の在級年数や、学歴、専門能力などの要件を満たせば昇進することができる。

 

 

 

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