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6 統治機構

タイの国家体制は1932年に絶対君主制から立憲君主制に変わり、現在に至っている。主権在民、議会主義、三権分立などを統治の基本理念としている。

(1) 国王

タイの元首は国王。1997年時点の国王は、プーミボン.アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)で、1946年6月に即位した。国王は、国会で成立した法律への署名など国事行為を行うとともに、国軍の統帥、宗教の擁護者としての地位、位階・勲章を授与する権限を有し、裁判所の判決も国王の名のもとになされる。

(2) 国会

タイの立法機関で、上下両院からなる2院制。下院は直接秘密投票による中選挙区制(155選挙区)の公選で、391名の議員を有し、任期4年となっている。選挙権は20歳、被選挙権は25歳以上のタイ国籍を有する者に与えられている。

上院は国王による任命議員270名から構成されており、35歳以上の学識ある者で、いずれの政党にも属さない者から、首相の推薦に基づき国王が任命する。現役官僚又は官僚OBが上院議員に任命されることも少なくなく、1997年現在、262名いる上院議員のうち、64名が現役官僚又は官僚OBで(憲法では議員と官僚を兼ねることはできないと規定されているが、上院議員を兼ねることは例外とされている)、66名が軍出身者となっている。上院議員の任期は6年、3年ごとに議員総数の2分の1が交代するが再任を妨げない。

法案の発議権は内閣及び下院にあり、すべての法案は下院に提出される。上院は下院から送付された法案を60日以内に審議しなければならず、審議未了のときは可決とみなされる。法案は国王の裁可(署名)の後、法律として布告される。上院で否決された法案は下院の再可決により成立する。

 

 

 

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