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2.高齢者を雇用するにあたっての要因〔第71・72表参照〕

高齢者を雇用するにあたって必要な要因を調査したところ、回答企業335社中89.0%の企業が「従来の経験を生かした職務」を第一に挙げ、次に「賃金体系の見直し」を82.1%の企業が挙げている。この2項目を8割以上の企業が必要と考え、次の「高齢者が働ける職場環境の整備」45.1%を大きく引き離した結果となった。

しかしながら、特に考慮すべき項目を調査(255社回答)したところ、前述とは逆の結果となり、60.8%の企業から「賃金体系の見直し」、43.1%の企業から「従来の経験を生かした職務」という回答を得た。これは、日本的雇用慣行により上昇した高齢者の高い賃金コストを従来どおりに維持しようとすると、中高年齢層の雇用過剰とも相まって企業財政を圧迫しかねないということ、さらには、加齢に伴なう個人の労働生産性が大きく低下するであろう高齢者の提供する勤務に対して、ふさわしい賃金体系(現給より減の方向)を設定することが、今後進むであろう能力・業績主義的賃金体系に合致すると考えられた結果かと思われる。

高齢者を雇用するにあたっては、長年培われた知識・技能・経験・資格を活用できる職務に従事させることが必要である(このことは前述の他、「従来とは変わった軽易な職務(事務補助)」が6.9%という低率であったことからも伺える)が、加齢による生産性の低下と能力・業績主義的雇用管理のバランスを考えた場合、年功序列型の賃金体系の見直しを最重点に考慮すべきことが、高齢者の人事管理を行う上で重要であるとの確信を得た。

なお、「身体的負担の軽い職務」、「勤務日数の少ない勤務」、「短時間勤務(毎日)」の項目がさほど高い率を示さなかった(36.1%、33.4%、29.0%)のは意外であった。

ア.さて、これを産業別にみると、一番率の高かった高齢者雇用の必要要因は、「農林漁業、鉱業、建設業」、「製造業」、「運輸・通信業」、「金融・保険業、不動産業」の産業では、「従来の経験を生かした職務」(90.3%、89.3%、83.3%、90.0%)であるとし、「電気・ガス・熱供給、水道業、

 

 

 

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