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資金供与者が、発展途上国に対してこの問題を克服するための支援を提供してくれるものでしょうか。

アフリカ:我々がこの問題を克服したとは言えないかもしれませんが、我々はなんとかやっている状態だとは言えるでしょう。ただ、実際明日はどうなるかは分かりません。政府は、基礎的なところはできた、といっておりますが。成長率の目標は、それほど高く設定されてはいません。これは、非常に慎重に計画されております。

この議論に関連して指摘したいのですが、我々は短期的な期間についてだけでなく、中期的な期間についても関心を持たなければいけないということであります。通貨危機には、短期的なものもあれば、中期的なものも、いずれもあります。しかし、計画立案者たちが、短期的なものにばかり気をとられてしまうと、中期的なもの、例えば経済の生産能力の向上といったことを忘れてしまうかもしれません。我々は、教育、保健あるいは衛生についても論議しなければならないわけです。また、女性の地位についても論議しなければならないのです。これらについて短期的な立場では答えは出せない、中期的な立場で取り組んでいかなければならないと思います。ですから、統計専門家が間違っていることがあるかもしれません。そして、プランナーが間違っていることがあるかもしれません。物事は短期的に起こりますが、我々は、中期的にどういうことが起こるよう望んでいるのか、といった明確な方向づけを持たなければなりません。そして、短期的には、戦略・戦術に導かれていくということになります。我々は、方向を見失わないようにしなければなりません。

例えば11月の時点に立って、これで将来はなにもないと考えて、予測に失敗してはなりません。考えなければならない問題は山積みされております。これが、まさに、「アジアの持続的発展を支える統計を考える」ということですから、現在起きていることのみに心をとらわれるのではなく、さらに幅広く将来を見て行かなければならないと思います。

議長:ありがとうございました。まだいろいろ質問はあるかもしれませんが、時間も限りがございますので、私はファイナル・リマークに移らせていただきます。ここでは、日本の方々の人数が多いということから、ファイナル・リマークは日本語で申し上げたいと思います。

私、今回の会議のオーガナイジング・コミティーのチェアマンを務めさせていただいた溝口であります。今回このセミナーを作るに当たりまして、私ども、どのようなテーマをここの統計として取り上げるか、ということを最初に協議いたしました。

最初のセミナーでありますので、あまり特殊なテーマにはこだわらず、できるだけ広い範囲の議論を進めようというというのが、まず私どもの最初の設計で考えたわけであります。そこで考えましたのが、現在アジア地域においてもなお重要であると考えられる所得分配と格差の問題の特別な形である貧困の問題を一つのテーマと考えました。これは古くて新しい問題ということで、アジアでは非常に重要であろうということで第1セッションで取り上げたわけであります。

第2セッションといたしましては、現在世界的な関心があります環境問題というのを取り上げよ

 

 

 

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