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る農民あるいは農村の住民が貨幣タームでは表わすことができないような所得をかなり得ていると思うのです。そういうものが、こういう統計データにはなかなか出てきていないような気がするのです。

その点はどうなのか、ということと、もしそういうデータを取り入れようという努力がなされているとすれば、具体的にどういう形で作業されているのか、お聞きしたいと思います。

アフリカ:この点については、ご参考までに申し上げますが、我々は、現金の所得を捉えるのみならず、現物の所得も捉えようと最善の努力をしております。所得について情報を入手するプロセスは、所得についてのあらゆる可能な情報源から計数を収集するということであります。というのは、発展途上国における所得の情報源は、先進諸国の所得の情報源よりも多様になっております。この問題に対処するために、私は、あなた方の調査結果についてもう一度見てみようと思いますが、また、ここ過去10年間に、多くの農村地域は都市部の一部に取り込まれ、再区分されたということも関係があると思います。

ですから、農村部の貧困発生率対都市部の貧困発生率が農村地域から都市部への再区分によって影響を受けているということはあるかもしれません。先に申し上げました通り、所得と支出は、私どものような伝統的で農業中心でありながら、一方で、急速に工業化が進み、製造業部門がサービス・セクターに移行しているような二重構造の社会では、モニターすることが難しいのです。それ故、これらは、我々が直面している課題であります。

しかし、ご安心いただきたいことは、我々は3年ごとに調査を行っております。将来の計画としては、貧困スレッショールド、貧困発生率の上昇、下降をモニターするために、毎年のペースで年間世帯所得の統計を調査しようと考えております。これである程度のことがわかるでしょう。しかし、他のすべての統計部局は、農村で農業を営んでいる地域で重要な意味をもつ現物の所得を測定するのに困難を感じております。

議長:質問をもう一つ。

バティ:ありがとうございます。また、発言させていただきたいと思います。まず、特に一つ申し上げたいのは、誰が非難されるべきなのか、統計専門家がなのか、プランナーなのかというカーンさんの質問に関連してですが、私の意見としては、統計専門家だと思います。統計専門家は、傾向を明らかにし、プランナーは、傾向を取り上げて計画に変換していくのですから、誰が非難されるべきなのかは明白だと思います。

次は、トーマス・アフリカさんとSIAPのビジョイさんのお話に関連してであります。金融危機に直面している発展途上国では、公的部門でも、統計作成のような種類のプロジェクトに対して十分に資金の配分ができないということがあります。これらの国々では、情報というものは、贅沢なもので、必要なものではないと考えられる傾向があります。私としては、フィリピンがどのようにしてこの問題を克服されたかをお伺いしたいと思います。また、世界銀行あるいは先進国のような

 

 

 

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