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たということで、我々の経済成長率の予測としては、おそらく7%には届かないだろうと、おそらく6〜7%がモダレートな数字だと思いますが、6%以下と言う人もいます。

外部では、多くのいろいろな予測が流れていますが、どれが本当かわかりません。とにかく、インドネシア統計局(CBS)におきましては、予備的な予測は出しません。我々が出しているのは、予測ではなく、常に注意深く計算をして1年間(暦年)が終わった1カ月後の1月末に大統領に数字を提出します。CBSは、常に注意深く情報を提供します。というのは、CBSがデータを一度発表すると、すべての人々が、これが公式の数字だとして引用することになるからです。ですから、これが問題なのです。

ということで、現在の状況に関して誰が責任を持つのか、何ともいえません。我々皆だと思います。

議長:他に質問がありますか。ご意見がありますでしょうか。

シャリ:ただ一般的なコメントとして申し上げたいのですが、我々の認識しなければならないことは、かなりラディカルな変革が起こっているということであります。おっしゃった通り、世界はグローバル・ビレッジになりつつあります。そのような変革のなかで重要なこと、差し迫っていることとしては、すべての関係者、統計専門家、プランナー、エコノミストは、新しく台頭しつつある国際経済システムの働きについて、十分に理解しなければいけない。戦後の国際経済は、ブレトン・ウッズ体制に基づいて形成されてきたわけであります。しかし、いま重要な変革が進んでおります。

実際、多くの論文では、国家の役割は非常に縮小したと論じております。最近の危機を見ておりますとわかりますのは、この危機によって影響を受けた多くの政府は、国際金融資本の攻撃に対して、ある意味で無力感を持っているということであります。もちろん、議論としては、国際金融資本の投機的な活動は、非民主的なもの、地域内に広く存在するクロニズム(cronyism:友人を官職などに引き立てる)を排除するのに役割を果しているといえます。しかし同時に、変革は、問題に巻きこまれている人々のみならず、権力にいる人々にも警告を発しております。

ですから、責任ある関係当事者たちは、問題をより詳しく、真剣に研究しなければなりません。計画を立てるときに、どのようなデータを収集すべきなのかということも、環境の変化に合わせて変革されていかなければなりません。ありがとうございました。

議長:この後、二つご質問を承ろうと思います。ご質問はないでしょうか。

西村(質問):鹿児島大学法文学部の西村(知)と申します。アフリカ先生に質問があるのですが。

ポバディ・インシデンス(poverty incidence:貧困発生率)についてですけれども、私がフィリピン国家統計局(NSO)の貧困に関する統計を見ていますと、農村部の貧困状況はかなり過大評価されているというか、数字が大きく出すぎているように思えたわけですね。私が農村調査をしていまして、色々見て回っているのですが、都市の貧困と農村の貧困というのが、統計に出ている程はそれほど格差が大きいように思えないわけです。その一番大きな原因というのは、この統計データでは、農村の自給自足的な性格だとか、あるいは共同体的な相互扶助的な性格、そういういわゆ

 

 

 

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