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それは、環境とか資源とかのアカウントをどうするかという問題ですが、一言だけ申し上げたいのは、私、経済企画庁の研究所長をやっておりました当時、約25年前だったと思うのですが、いわゆるNet National Welfare(NNW)という数字を推計する仕事をやって100ページばかりのメソドロジーを書いた本人であります。その当時は、日本の経済学者はですね、急に妙なものが出たというわけで、大部分がこれを相手にしないと、むしろそういうものを経済企画庁でやること自身がナンセンスであると考えていたようですが、しかし、その当時は主婦労働を評価するとか、あるいは環境悪化を金額表示して、これをウェルフェアの指標としてのGNPを出すためには、それをどう差引いたらいいかとか、そういう仕事をやりました。

私達のやったことは、ちょっと早すぎた。25年、4分の1世紀早すぎたと思うのですが、しかし、徐々に似たような仕事が国連のサポートの下で行われるということは、私は慶賀するべきことだと思うのです。

ただ、一つ大事なことは、当時、私たちの仕事が経済学者あたりから問題にされなかった理由というのは、既存の主としてGNPを中心にした、有効需要を中心にしたGNPの統計にとって代わって、福祉を重点においたGNPを代替させるという気持ちをNNWというものを推計しようとした連中が考えている、というふうに考えられたのではないかと思うのです。

実際は、最初のところにはっきり書いてあるのですが、既存のGNP体系を決して破壊するものではなく、それを与えられたものとした時に、一体福祉サイドから考えたGNPというものは、公害、環境悪化を差し引くとか、政府支出の中で福祉に直結しないものを差し引くとか、そういうことをやることによって、有効需要を中心にしたGNP体系から福祉サイドに重点をおいたNet National Welfareというものは、どういうふうにしたら推計できるのかということを考えて、数年にわたるデータの試算をやったことがある。残念ながら、今手元にある英文のコピーは私1部しかもっておりませんので、シャリさんとダムロンサクさんにここで差し上げるわけにはできないのですが、もしご要望があれば、あとでコピーを送らせていただきたい。受け取っていただければ、非常に有り難いということだけを申し上げたい。

議長:セリンさん、答えていただけますか。

セリン:質問をきちんと理解できたかどうかと思いますけれども。外国為替関係のデータですが、我々は、我々自身の外国為替のデータを持っております。取引量とか、為替レートの話をされているのか、分かりませんが。

質問者:為替レートではなくて、融資残高、先進国からタイに対して融資されたローンズ・アウトスタンディングのうちで、日本から流れて行ったものは半分くらい占めているということがBISのデータから出てきている。そういうことは、 IMFの“International Financial Statistics”からすぐ出てこないし、それからIMFのデータが毎月出ているわけですけれど、それを待っていては間に合わない。私自身、BISがどうしてそういうデータを作ったか、これからチェックしよ

 

 

 

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