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うになった時に、僕らが作ったデータとそう簡単につながらないという問題は、もちろんあると思います。しかし、それを仮に考えたとしても、1993年のSNAをいま採用して歴史統計を作る難しさの方が、1968年のSNAを使ったことによって生ずる難しさよりも、(少なくとも現段階では)大きいのではないかと、そう考えたわけです。

それから、国際比較をする時に、市場為替レートを使ったのでは適当でないとおっしゃるのは、その通りですね。ただ、PPPを使うべきだというのは非常にいいご指摘で、その点は僕らも課題とする所の一つなのですけれども、毎年PPPを計算するのは、おそらく過去に遡って難しいわけで、いくつかのベンチマークの年に、対象とする国々の相互比較のために作るということは、試みてよいと思います。

2番目の点も、非常に重要なご指摘です。我々の課題の一つとしたいと思います。ただ、現状では、各国のデータをできるだけ時系列的に矛盾のない形で整備するのに精一杯で、クロス・カントリーの比較をどうやってゆくかというところまで意識が十分回っていないという状況です。

議長:もし、さらに追加のご質問がある場合には、先生から直接英語でお話があると思います。それでよろしいでしょうか。ほかにご質問はありますでしょうか。篠原先生どうぞ。

篠原(質問):統計研究会に勤めている篠原(三代平)と申します。

一つは、シンガポールからきておられるセリン・シアさんに対して質問というか、ご意見を承りたいのですが、これは、今度の通貨調整というか通貨危機の場合にですね、実は私、日本の経済企画庁の方に統計を示されたわけですが、国際決済銀行(BIS)から出しているセミ・アニュアルなリポートがあるそうですが、その中でこういうデータが出ているわけです。

それは、1996年末において、先進国からタイに融資した、その融資残高の50何%かが日本からの融資に係るものである。これは、極めてホットなデータであって、タイの通貨危機から始まったわけですけれども、通貨危機を理解するために非常に重要です。一方、IMFの“International Financial Statistics”ですと発表が随分遅れてしまう。したがって、いろいろな国のデフィニッション、カテゴリーを一致させたものとしては、IMFのものは非常に便利ですが、通貨危機のような、突然株価が下がるとか、為替レートが大幅に減価するとか、こういう現象が起きた時に、やはり役に立つデータは国際決済銀行のものかもしれない。

そこで、金融面に関しては、そういう意味で、データが発表された後でゆっくり調べているという吟味の期間がありませんので、金融については統計を整備するとかということに先立って、国際決済銀行の統計はどういう形で発表されているのか、私まだそういう統計を見たことがないものですからこれから調べてみようと思っているのですが、その点についてシンガポールにおられてどういうふうにお感じになったかをお聞きしたい。

それから、関連して、今日は非常に面白い発表をタイのダムロンサクさん、それから、マレーシアから来ておられるシャリさんからお聞きしました。

 

 

 

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