ます。そこで、一番重要な勘定についてお話しする、特にインドネシアにおきましては地下資源である石油とガスに焦点を合わせてお話しいたします。
この勘定は、政府に対してよい情報を提供するわけですが、どのくらいの期間石油を使うことができるのか、いつ頃石油を輸入することになるのか、を考えているわけです。いま、わが国は石油輸出国ですが、もし石油を使い果たしてしまうと、石油その他のエネルギーを輸入するか、入手しなければならなくなります。本報告書247頁をご覧いただきますと、天然資源勘定の構成要素が載っております。基本的な要素は、期首におけるストックでありますが、ストックの増加により、推計は上方修正され、また、新しい資源の発見、自然の増加ということもあるでしょう。再生産による期首ストックの自然増もあるでしょう。さらにまた、減少による下方修正もあります。自然の枯渇ということもあるし、あるいは経済活動の減退による枯渇その他のケースがあります。最後に、期末ストックを載せております。
表2(248頁)については説明いたしませんが、ご覧いただきますと、環境統計の概念と方法論についての国連の資料から採りました。我が国では、この国連のガイダンスに従って環境統計を公表しております。
次に、3・2、天然資源の枯渇に移りたいと思います。これは、非常に重要な事柄であります。天然資源の枯渇率は、現存する天然資源が経済活動を支援するためにどのくらいの期間利用することができるのか、そして、これが経済のパフォーマンスの水準にどのくらい影響を与えるのかを知るための指標となり得るわけです。
本報告書256頁の表4をご覧いただきたいと思います。表4では、原油および天然ガスが載っております。インドネシアの現存する石油のストックの採掘または生産を続けますと、(5)を見ていただきますと、これが生産です。そうなりますと、1995年から15年以内で石油は枯渇してしまうことになります。ですから、インドネシアは、2010年までに輸出国ではなく、ネットで輸入する国になるということになります。
石油以外の他の資源が手に入らない限り、輸入国になるということで、政府は一層この問題に取り組んでいるわけであります。ですから、石油だけに依存するならば、ご存じのようにGDPの15.0%は石油および天然ガスが占めております。この天然資源だけではなく、太陽エネルギーとか、石炭、ブリケット・コールを使うというようなことも考えていかなければなりません。ただ、石炭の利用には大気汚染の恐れがあるので、トレード・オフの関係となります。天然ガスにつきましても、これから40年間は使えるでしょう。しかし、現在の生産ペースで行くとして、現存するストックで考えると、40年はもつ、逆にいえば、40年しかもたないということになります。ですから、40年後には、エネルギーとしての天然ガスが枯渇してしまう、というのがインドネシアの状況です。
次に表3(256頁)を見ていただきますと、GDPに占める石油および天然ガスの割合がますます小さくなっております。1990年には、ほぼ15%でありましたが、今ではわずか8%に下がって