環境勘定を伴った物理的な資源勘定と貸借対照表とを結びつけること、(c)環境面のコストとベネフィットについての評価であり、これには、二つの大きな課題があって、一つは、生産および最終需要における天然資源の利用(枯渇)であり、二つ目は、汚染その他の生産、消費および天然の出来事の影響から生じる環境の質の変化が一方にあり、環境の保護と強化が他方にあります。(d)環境面の調整がなされた所得および生産物に関する指標の精査と測定であります。
天然資源の枯渇と環境の質の変化によって、修正されたマクロ経済集計の計算、即ち、「環境調整済国内純生産」、要約して「エコ国内純生産」(EDP:Eco Domestic Product)と呼ばれるものが可能となっております。
ENRAに関連するSNAの拡張と修正の範囲は、(1)経済取引(活動)を天然資源と環境的な配慮に分離集計すること、(2)非市場的な活動を加えたこと、(3)天然資源の枯渇と悪化および環境上の損害を控除すること、であります。
マクロ経済の集計量の、統合システムのなかでの関係は、次のように表現できます。まず、伝統的なGDPがありまして、それに世帯生産(ノンマーケット生産)の総付加価値が加えられます。これがコスト指向のGDPでありまして、それから引くことの生産された資本資産の消費ということであります。そのなかには、産業活動の資産および世帯生産の資産があります。それから天然資産の枯渇あるいは天然資源資産の悪化を差し引くということでやっていくわけです。
持続可能な発展に関する研究について、ENRAによって得られる情報は、次の目的に用いることができます。即ち、(1)経済的な持続可能性の要素と生態学的な持続可能性の要素との間の相互作用を明らかにすること、(2)多数の要素とこれらの要素間の関係を含む変化の多面的なプロセスとしての持続的発展についての理解を促進すること、(3)天然資源のフローとストックに基づいた経済的および生態学的な発展の動向を評価すること、(4)天然資源の利用に伴う恩恵とその欠点、そしてそれが人間の将来における福祉に与える影響を評価することであります。
タイにおいて経済計算の作成は、30年以上になっております。経済計算は、国民経済計算、産業連関表、国際収支表から構成されます。これは、世界的な傘のもとでの経済勘定システムとなっております。
タイにおける「国民経済計算」は、1956年以来毎年、国連のフレームワークのもとで首相府の国家経済社会開発庁国民経済計算部によって作成されております。種々のセクターの集計レベル、分計レベルの計数は、国連の分類システムに基づいており、地域総生産(GRP)、県内総生産(GPP)を含め、毎年入手可能であります。
「産業連関表」(Input Output Table:投入産出表)でありますが、最初の1975年の包括表は、日本のアジア経済研究所の技術的支援のもとで作成されました。その後は、継続的に1980、1982、1985、1990、1995の各年の表が作成されたか、作成中であります。表のタイプですが、180セクター、56セクター、27セクター、16セクターのものがあります。