SNAにおいて関心の中心にあるのは経済活動でありまして、財およびサービスの生産、最終目的のための分配、生産過程で貢献する要素に対する報酬、即ち、労働所得、および非労働所得つまり財産所得(賃料、利子、配当)で構成されております。再分配、例えば税金、あるいは経常移転および資本移転の関係の移転支払も記録されます。
SNAの部門分けにつきましては、経済取引は経済活動の機能を基礎として分類され、それらは、生産、消費および蓄積(貯蓄あるいは投資)であります。開放経済については、財およびサービスの輸出および輸入も世界セクターの残余として計算に入れられます。そして、国民経済計算は、その他の関連の勘定、例えば産業連関表、国際収支表、資金循環表、国民貸借対照表の中核となるものであります。
最初のSNAは、国連統計局(UNSO)によって1953年に確立されたもので、1953年SNAと呼ばれております。その後、二度の包括的な改正が、1968年と1993年に行われました。 これらは、それぞれ1968年版SNAと1993年版SNAと呼ばれております。1953年SNAの体系の相互関係は省略しますが、論文で示しておりますので、どうぞご参照下さい。各改訂の主な点ですが、1953年SNAは、フロー取引だけで構成されております。1968年SNAは、金融取引を取り入れました。3度目の改訂では、不明確な概念や定義を修正し、また、環境の側面と財およびサービスの影響をも対象とするよう拡大されました。
SNAと環境資源勘定でありますが、発展の持続可能性と環境上の課題という理由から、従来のSNAは、開発指標のコア・システムとして改善するために包括的に検討されました。伝統的なSNAには二つの欠点がある、即ち、(1)経済の持続的な生産性を脅かす天然資源の稀少性を無視していること、(2)環境の質の悪化とそれが人間の健康あるいは福祉にどのような影響を与えるかを考慮していないこと、であることが明確に述べられております。国際的な合意による最終的な結論として、第1に、SNAは天然資源や環境活動を対象に含めるように拡張されなければならないこと、第2に、天然資源や環境上の課題を記録できるような勘定がサテライト勘定として、しかもSNAの中心的なフレームワークと一貫性のあるものとして作られるべきこと、第3に、統合的なシステム、後に環境・経済統合勘定体系(SEEA)と呼ばれるものを作り、データベースの開発を行うべきであること、であります。
SEEAのスコープにおけるサテライト勘定および国民経済計算でありますが、1993年SNAでは、いくつかの概念が拡張されました。経済分析において天然資源や環境の基準を組みこんでいこうという要請の増大に応えるため、SEEAの目標は、第1に、より正確に、環境的に健全で持続可能な開発の計画と政策を目的として、社会・経済的なパフォーマンスの構造、レベル、動向を測定すること、第2に、サテライト勘定システムは、(a)経常取引と伝統的な勘定の資産のフローとストックおよびすべての天然資源と環境に関連するものを分計し精査すること、(b)金銭的な