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だったのが94年には18.9倍になっております。

その結果として、「ジニ係数」(Gini’s coefficient)は1994年に0.45で、91年の0.468よりも3.7%減少しております。より低いジニ係数は、より平等な、または、より不平等さの小さい所得分配への移行を示しております。方法論上の課題としましては、支出は実際よりも大きく評価され、所得は実際よりも少なく評価されているかもしれない、という批判が伝えられております。

用いられる標本設計は人口に基礎を置いておりましたが、所得または関連する社会経済指標の階層化はありませんでした。所得分配の両端、すなわち中核貧困者と富裕世帯については誤った代表性の可能性がありました。しかし、1997年には、この問題に対処するためのマスター・サンプルデザインが採用されました。1988年と1991年の間のサンプリング・フレームの変更といった一定の変更にもとづく継続性の中断によって、都市部および農村部についての結果が、2つの時点間で定性化されることが必要となりました。

6.0の貧困でありますけれども、6.3でフィリピンの1994年における「貧困発生率」(povertyincidence)は35.7%で、91年の39.9%の計数よりも4.2%低いものでありました。これは、1991年に貧困世帯が480万人だったのと比較して、94年には460万人の貧困世帯があったことと対応しております。都市部の貧困層の数が大きく減少しまして、農村部の貧困層の数がわずかに増えております。

1994年のサブシステンス(subsistence:生計、生活維持)の発生率は、1991年の20.4%から18.2%に下がっていると推計されております。中核的な貧困者の大半は農村部におります。

現在の方法論では、県に相当するプロビンスのレベルの貧困発生率を正確に推計することはできません。それは、方法論が広域レベルのみで利用可能な貧困スレッショールド(threshold:閾、敷居、境)に基づいているからであります。

貧困の推計は、家計調査の結果の利用可能性に依存しており、それ故、3年ごとにのみ推計可能であります。そこで、所得ベースだけに基づくものでない指標を含む類似指標の開発と決定によって、貧困をもっと高い頻度例えば年1回モニターしたいという要請がありました。

貧困発生率、あるいは1人当り指数を使って測定される貧困の程度は、不適切な測定方法だと批判されております。このような測定方法では、貧困世帯の貧困度が減っても測定結果が変わらないということであります。貧困世帯が一層貧困になり、あるいは貧困世帯の所得が改善されても、世帯が貧困スレッショールド以下にある限り、測定結果が同一だということであります。

そしてまた、住宅、教育や保健といった、食糧以外の基礎的ニーズを直接推計したいという強い需要があります。これらに関しては間接的なアプローチとして、家計調査の結果を用いて全支出に対する食糧支出の補足として非食糧スレッショールドを引き出して推計するのに代わるものであります。経常所得は経常的な福祉水準を過大評価するか、過少評価するかもしれません。借り入れするとか貯金を使うとかができれば、その人の福祉水準は経常所得に制約されないことになります。

 

 

 

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