日本財団 図書館


ンドを除き、世界銀行によって、低所得国あるいは中所得国に分類されております。結果として、この地域には世界の人口の半分以上が住んでいるにかかわらず、GNPに関連する世界の所得では4分の1しか占めておりません。

2.1に入りますが、公式為替レートで測定されたGNPが不十分であることは、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」(Human Development Report)において、1990年の最初のレポート以来認識されてきており、また、より最近では、IMFの1993年と94年の世界経済概観で焦点をあてられております。しかしながら、UNDPは、公式為替レートを用いて各国所得の比較をすることの不適切さを認識しただけではなくて、GNPの相対的な水準と平均寿命、識字率その他の社会的な指標における相違との結びつきが弱いものであることをも明らかにしております。

3.2の都市の問題でありますけれども、農村部からの移住と都市化が工業化に伴って進展したヨーロッパ先進諸国に比べて、発展途上国では、工業化があってもなくても都市化は発生したわけであります。さらに、この都市化の速度は、ヨーロッパが工業発展を経験しそれが30年以上続いたのと異なり、2倍から5倍のものでありました。

移住の原因は様々でありますが、都市部では賃金が高いだろうという期待、実際にいくらの賃金が稼得できるかではなくて、が移住者、特に、いくらか教育のある若者達を引きつけるものとみられます。殆どの移住者は、新しい雇用先が都市で見つかるであろうと期待して移りこみ、そしていったん仕事が見つかると、所得が農村部よりもよいことによって失業の時期を償うのに足るわけであります。しかし、失業期間の延伸あるいは永久的な失業、それ故の住宅事情の極端な貧しさの存在なしには、このことは実現しないのであります。

そして、4.2であります。アジア太平洋地域の大部分の国々では、性別格差が大きく存在します。アジアにおけるすべての発展途上国では、女性は、文字の読めない人口の2分の1から4分の3を占めており、そして南アジアでは、女性の識字率は、男性のそれに対して半分であります。性別格差は、教育面でも大きくあります。

4.3に移ります。15歳以下の子供は、1995年なかばのアジアの人口の33%を占めております。東アジアでは26%、東南アジアでは37%、南部中央アジアでは38%であります。多くのアジア諸国では、この比率は40%近くであります。工業化されている地域では、この比率は低く、ヨーロッパでは20%、北米では22%であります。発展途上国において、若い人々(幼少年と青年)の数が非常に大きいウエイトを持つことの意味は、多面的であります。

フィリピンの状況に移りたいと思います。所得の問題についてですが、5.2であります。都市部における世帯の平均所得は、農村部における世帯のそれの2倍以上と推計されてきております。

所得分布は変化し、第1分位から第9分位の世帯への所得分配が1991年から1994年でわずかながら増加し、一方、第10分位の世帯においては37.8%から35.5%に減少しております。そして、また、1994年には、第10分位の世帯の平均所得は、第1分位の世帯に比べて、1991年には20.6倍

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION