している。都市部の雇用状況は過去よりも良くなっているが、引き続き政府の取り組みを必要としている。さらに、雇用率を他の国と比較する場合には、ILOによって提案されている概念が統計システムに完全に採用されているので注意する必要がある。性差別改善(ジェンダー・エンパワーメント)指数では、フィリピンの女性は東南アジアの女性の中ではいい位置を占めている。しかし、経済及び政治的な機会をもっと広範に女性に提供する上では、まだまだやるべきことが多い。なかでも急がれることの一つは、女性に対する暴力、経済開発への参加、貧困の女性への偏りなど女性に関する問題が統計上の数字として表れるようにすることである。
持続可能な発展を追求するためには、女性、貧困者、都市生活者、失業者などに関する社会・経済計画、政策及び事業が諸階層に与える影響を定期的に監視し、評価することが必要である。類似性や格差を表す統計の役割は、発展の過程でますます重要になっており、アジア地域諸国政府はその重要性と支援の価値があることを認識しなければならない。
ジニ係数
1990年(平成2)年の「国民生活白書」では、所得、金融資産、土地の家計の保有についての格差をジニ係数を用いて分析している。ジニ係数は、ある指数、例えば所得についての世帯間格差を示す指標であり、0と1の間をとる。世帯を所得の大きさの順に並べ、小さいほうからの世帯数合計の全世帯数に占める比率を横軸に、対応する所得合計の全世帯所得合計への比率との関係を縦軸にして図にすると下図のABCのようになる。この場合、所得格差がより大きいとAB′Cのようになるから、斜線の面積と三角形ACDの面積の比率は所得格差の指標となり、ジニ係数と呼ばれる。所得については、0.3程度は平等な社会、0.5程度は不平等な社会であるといってよい。家計資産では、0.6以上の値が得られるのが普通である。

自由国民社「現代用語の基礎知識」(1998年版)