60代、70代にかけてI度の比率が高くなる結果が得られた(表5、7)。すなわち、骨密度が十分に保たれていた女性の頻度は、北浦町では40%であったのに対し、栗山村では17%でしかなかった。
森岡らは一般住民の骨密度測定を行い山村に比べて漁村の骨密度が高いと報告しているが、今回の検討で用いた腰椎単純X線像でもその傾向が示された。山村と漁村の骨量を比較した報告は少なく、骨密度に影響を与える因子も数多いために漁村のほうが骨密度が高い理由は不明であるが、北浦町の住民は魚の摂取が多くこれもひとつの因子かもしれない。
V 結語
漁業を主とする沿岸従事者に腰痛有病率が高いことが判明した。また、山間労働者との比較において漁業を主とする沿岸従事者の高齢女性では骨密度が比較的保たれていた。
この研究は日本財団の補助金によって行われました。財団の御援助に対して深く感謝の意を表します。
参考文献
星野雄一ほか:山村労働者(栃木県栗山村)の腰痛に関する実態調査。日整会誌。 7 0 :S549、1996。
森岡聖次ほか:骨量の地域差 -山村と漁村の比較-Clinical calcium.6.: 829-833,1996.