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我々は、Ce-H202-DAB-Ni法により光顕で見ている細胞内顆粒が間違いなく、電顕で観察されている顆粒と同一なものであるか否か確認するため、Ce-H202-DAB-Ni法で光顕の可視化を行った試料を樹脂包埋し、電顕でX線元素分析を行った。NAP陽性の顆粒にのみNiの存在を示すX線のピークが認められ、光顕で観察している顆粒は電顕で観察しているNAP顆粒と同一なものであることが証明された(図-9)。

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グルタールアルデヒド固定-セリウム法→Ce-H202-DAB-Ni発色を用いたNAP活性検出法の感度を更に検討するために、遊走因子であるfMLP(N-formyl-met-leu-phe)、protein kinase Cの賦活剤であるPMA(phorbol 12-myristate 13.acetate)による刺激に対するNAP活性の変動を塗抹標本-アゾ色素法と比較した。塗抹標本-アゾ色素法では、NAP顆粒陰性の細胞がほとんどであった(図-10A and 10D)。それに比較して、グルタールアルデヒド固定-セリウム法→Ce-H202-DAB-Ni発色では、刺激に対するNAP顆粒のダイナミックなup-regulationの様子を光顕上で見事にとらえることができた(図-10B and 10E)。fMLPでは、NAP顆粒が癒合して主に管状の変化を示した(図-10B)。

PMAでは、NAP顆粒は癒合し主に巨大顆粒状及び管状の変化を示した(図-10E)。グルタールアルデヒド固定試料は、一部の試料を電顕試料作製操作にそのまま移行させることにより、この急激なup-regulationを更に超微形態学的に解析することが可能である(図-10C and 10F)。

 

 

 

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