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2)結果

先ず塗抹標本による染色であるが、日本ではnaphthol AS-MX phosphate(基質),fast blue RR salt(ジアゾニウム塩)を用いた朝長らの方法が広く普及しており[27]、このアゾ染色法に従い行った。図-7Aに分離好中球塗抹標本-アブ色素法による染色の光顕写真を示した。NAP顆粒は濃青色の類粒として細胞内に認められた。朝長らのNAP顆粒の活性度による分類でいう0型からV型までの様々な顆粒の程度を示す好中球が認められた。分離好中球塗抹標本-セリウム法→Ce-H202-DAB(-Ni)発色による染色の結果は塗抹標本-アブ色素法による染色パターンと同様であった。

次に、グルタールアルデヒド固定の好中球において、NAP染色法(NAP活性検出法)の違いによる検討を行った。アゾ色素法よる染色では細胞内のNAP顆粒を染色することはできなかった。又、グルタールアルデヒド固定-鉛法→黄色硫化アンモニウム発色による染色でもNAP顆粒検出はできなかった。一方、グルタールアルデヒド固定-セリウム法→Ce-H202-DAB(-Ni)発色による染色では、細胞内にNAP顆粒を明確に検出することができた(図-7B)。Ce-H202-DAB法では茶褐色の反応産物であるため光顕では微細な顆粒の様子がやや判りにくいが、Ce-H202-DAB法にNiを添加したCe-H202-DAB-Ni法では鮮明な青黒色となり微細な細胞内顆粒としてとらえることが可能となった(図-7B)。驚くことに、塗抹標本-アゾ染色法では様々な陽性顆粒数を示す好中球が認められたの対して(図-7A)、グルタールアルデヒド固定-セリウム法→Ce-H202-DAB-Ni発色では微細な顆粒が細胞質にほぼ均一に分布する好中球細胞が大部分であることが示された(図-7B)。

 

 

 

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