[X]へき地の種々の疾患における好中球アルカリフォスファターゼスコアの再評価とその細胞生物学的研究
瀧澤俊広 自治医科大学第一解剖学
齋藤多久馬 自治医科大学第一解剖学 依田達也 信州大学医学部小児科学
松原茂樹 自治医科大学産婦人科学 清野良文 長野県立木曽病院
冨塚浩 自治医科大学血液内科学 徳重潤一 部立広尾病院
北條行弘 自治医科大学救急医学 土屋良成 松戸市立病院
糸長伸能 自治医科大学小児科学 川上勝弘 長野県立こども病院
紫藤和久 自治医科大学消化器外科学
?T はじめに
A 好中球の細胞内顆粒、特にneutrophil alkaline phosphatase(NAP)を含む顆粒
好中球は白血球細胞の一つで、体内に侵入してきた細菌等の異物を貧食し破壊する“殺菌作用"という重要な生体防御の働きを担っている細胞である(図-lA)。その好中球細胞の中には、沢山の細胞内顆粒が存在しているが、myeloperoxidase,acid Phosphatase等の酵素含むライソゾームである“アズール顆粒"と、ラクトフエリン,alkaline phosphatase (NAP),collagenase等を含む顆粒球系細胞特有の顆粒である“特殊顆粒"の二つの顆粒に分類されていた[3]。NAPは特殊顆粒の標識酵素と考えられていたが、近年、細胞分画法を用いた研究からNAPは特殊顆粒とは別の細胞内小器官に存在することが提示され議論をよんだ[5]。更にKobayashi and Robinsonは細胞化学的手法を用いてNAPを含む類粒の超微局在を検討し、二大顆粒とは異なる第三の顆粒であることを支持する報告をしている[12](図-lB)。