C.介護職にとってターミナルケアは精神的な負担になっている現状が示された。しばらくは、この状態で特養ホームのターミナルケアを介護職に依存しなければならない厳しい現状であった。しかし、負担を感じながらも利用者、家族にできる限り関わろうとする姿勢が伺えた。看護職不在の夜間帯の勤務、痴呆状態であることが多い利用者とのコミュニケーション、協力体制を得にくい家族との関係など要因は様々あった。介護福祉士の制度が新しいため教育の成果はすぐには反映されないが有資格者の増加と共に状況は改善すると考えられる。
D.数は少ないが施設内にターミナルケア委員会を設置したり施設独自の研修会を重ね確実に研鑽を積んでいる施設もある。今後は、模範的な施設の協力を得てLMDを基本とした老人のターミナルケアを追求したいと考えている。
謝辞
本研究の調査にあたり夏季の行事で、ご多忙にも関わらず快く応じてくださいました特養ホームの介護職の皆様に深く感謝いたします。
この研究は(財)日本船舶振興会の補助金を受けて実施したものである。
参考文献
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