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などのdrug delivery systemの改良も必要かと思われる。尚、長期投与による副作用に関しては、肝機能障害、骨髄抑制、さらにステロイド投与群で認められた耐糖能異常はなく、この点では安全性が高く有用性の高い薬剤となりうることが示唆された。

FY720は1995年Fujitaらが、ツクツクボウシ蝉の幼虫に寄生する子嚢菌Isaria sinclairiiの培養濾液から抽出した、抗生物質ISP-1を化学修飾して合成した薬物であり、臓器移植領域では皮膚移植や心移植で有効性が示され、新しい免疫抑制剤として期待されている。免疫抑制作用の機序としてリンパ球にアポトーシスを誘導することが報告されている。in vitroおよびin vivroでの実験結果はほとんどセラミドと一致しており、このような点を総合すると、FTY720によるアポトーシスにおいては、スフィンゴミエリン回路を介する可能性が高いものと思われる。

現在、セラミドとFTY720の投与実験はlprマウスのみでなく、NZB/WFlやHTLV-Iトランスジェニックマウスなどの他の自己免疫疾患モデルマウスでも遂行中であり、新しい免疫抑制剤としての臨床応用を念頭に置き、実験を進めている。

謝辞:本研究は平成9年度財団法人日本船舶振興会(日本財団)の補助金を頂き行ったものであり、ここに深謝致します。

 

 

 

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