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たのは先述のとおりである。経済統合により、こうした競争がより広い地域で展開されるようになると、当然その地域での輸送に対してより高度なサービス需要が拡大し、しかも、競争的な経済はより低費用輸送サービスを要求するようになる。

見方を変えれば、生産活動に不可欠な輸送サービスが供給されれば経済統合の意義が実現することにもなり、逆に低サービス・高費用の輸送サービスが経済効率化のボトルネックとなり、統合そのものの意義が半減させられる結果となろう。この意味においても、そして輸送を産業の一部門として見直す意味においても、実際に欧州委員会では競争促進を掲げ、ローマ条約や欧州委員会規則などで競争阻害要因を排除する規定を設け、フェイズ?T〜フェイズ?Vへと順次規制緩和を行なっている。一方、NAFTAでも、鉄道・海運・バス・トラックなどの事業で国際参入規制が緩和されつつあり、APECでも航空部門での規制緩和が協議にのぼり始めた。経済統合が進めば当然ながら、港湾の効率的運営に対して新たな圧力要因となることは必然と思われる。

 

(3) 港湾整備・運営の基本的取り組み姿勢

 

1) 港湾取扱貨物量の動向とその示唆

東・東南アジア地域における先述の経済発展を反映して、コンテナ取扱量についての世界の港湾ランキングのうち、図表7-96に示したように、10位以内に6港、30位以内に12港を占めており、かつ、そのほとんどが最近5年間の取扱量が大きく伸びている。この図で特に注目されるのは、1990年代にシンガポール港が世界一のコンテナ取扱港にのし上がったのは、80年代後半の輸出主導型経済の急成長がその中継輸送圏であるASEANに南下したためであり、次いで香港港が世界一の地位を占め

 

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