日本企業が進出した後も、高度な生産財や中間部品などは引き続きわが国から輸出されるケースが多く、輸送サービスの質は一層問われることになるが、わが国からの輸出需要は安定的になる。これに対し、海外進出した企業は、進出先の国から製品の逆輸入を新たに増加させることとなる。事実、日本の輸入における製品のシェアは80年で23%、85年で31%、89年には50%を超えている。図表7-4(145ページ)は92年度におけるわが国コンテナ貨物の輸出入別主要品目比率を示したものである3。これらの輸入品目をみても、これまでの輸出主体の港湾のあり方から、港湾滞留日数や利用施設の変更を促すものであることが理解される。
企業の東・東南アジアヘの海外進出は、先述したように、原材料調達、工場立地、在庫管理、製品技術開発、市場出荷とあらゆる部門を総合的に勘案した展開を図り、いわゆるロジスティクス戦略が国際競争に勝ち抜くための重大な戦略となっている。図表7-5は、三菱自動車の東・東南アジアにおける展開の様子4を示したもので日本の本社管理中枢機能とアジア各国の現地会社と世界市場が密接な関係にあることがわかる。
注3 運輸省港湾局『港島国日本の礎―国力の源泉は港にあり―』による。
注4 国際港運連盟「第3回通常総会報告書」より作成。
3) 企業物流の高度化動向
前述したような企業のボーダーレスな動きは、一面、原材料調達、製造、在庫管理、製品の市場ヘの搬送といったトータルコストと密接な関係がある。特に国際的規模での物流コストの低減は企業の国際競争にとっての重要な要件である。