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?B日曜荷役・24時間荷役・船積検量廃止などの港湾運営課題

コンテナ・ターミナルの運営効率をみた場合、わが国の稼動日数と稼動時間が他港と比較して短く、この改善の要望が日曜荷役や24時間荷役の要求といった形で国内外から寄せられている。このため、日曜荷役については、1995年6月から港湾労使の合意により暫定的に主要港湾で実施されている。また、わが国の輸出貨物について全貨検量が港運慣行として義務づけられており、これが船社の輸送費を高めているとの指摘が内外から寄せられている。

?C港運事業の参入・料金規制、慣行による競争阻害要因

現在港湾運送事業は、一般港湾運送事業、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業、検数事業、鑑定事業および検量事業に区分され、その区分ごとにまた港湾ごとに、需給調整要件などを基準とする免許制による参入規制が行なわれている。慎重な新規免許および免許の種類や港湾が細かく分けられていることなどにより、既存、新規参入者に関わらず事業の拡大、革新がみられないと指摘されている。さらに、本船荷役やターミナル作業に関して港運事業者の団体でなる日本港運協会(略称:日港協)と協議する方式がとられており、また新規免許についても日港協と連絡を密にする運用がなされているといわれている。日港協は労働組合と船社それぞれとの協議の中心となり、コンテナ・ターミナル運営に関して重要な役割を担っている。

?Dコンテナ・国内フィーダー輸送の高費用問題

国際コンテナの国内二次輸送について、現在はおよそ9割がシャーシによる道路輸送が行なわれている。これについては道路混雑、特に、港頭のコンテナ・ターミナル・ゲートにおける待ち時間や港運事業が零細なことなどによる高費用などが指摘されている。残りは内航海運による輸送が、特に、荷主まである程度の距離がある場合などを中心に利用されている。しかし、外貿コンテナ・ターミナルに内航船舶を直づけすることが船の運航や港湾事業の管理のためなどの理由により、コンテナ・タ―ミナルのリース契約上目的外使用にあたるために許されておらず、港湾内横持ち費用がかかるなどの指摘がなされている。

 

(2) 港湾運営の新たな取り組みの必要性を追る背景

 

一方で、近年、国際的な経済活動、企業物流、そして外航定期船産業のめまぐるしいダイナミックな動向が、港湾の整備・運営に対して新たな切実な要求を投げかけている。以下では、その動向を分析し、要点を指摘することとするが、背景として、円高、日本などの企業の直接投資による海外進出などが大きく影響している点が注目される。

 

1)アジアの経済発展と国際コンテナ輸送需要動向

東・東南アジア地域の経済発展とそれに伴うコンテナ輸送需要を、それぞれ資料を参照しながら概観してみよう。欧米や日本の経済成長が安定的な状況に入っているのに対して、他の東・東南アジア諸国のめざましい経済発展が、国際コンテナ輸送の構造を大きく変貌させている。現在そして今後は、こうした国際コンテナ輸送構造のめまぐるしい変化をよく見据え、そのなかでの荷主や船社などの利用行動の変化に応じて、港湾整備,運営の量的・質的対応を図ることが不可欠である。

?@アジアNIESの経済発展と輸送量増加

1970年代に工業化を進展させたNIES諸国は、80年代に至っても繊維などのような労働集約的産業から機械産業へ転換を図りつつ図表7-1(次ページ)のように経済成長を続け1、輸出における製造業製品のシェアも90%を軽く超している。

 

 

 

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