FCL貨物を出荷できる大口荷主に比べて不利な扱いを受けていた小口荷主へのLCLサービスを開拓する形で発達した。複合輸送の増加とともにNVOの展開がすすみ、製造業者が物流に要求するサービスが高度化するなかで、サービスの多様化をはかっていった。1980年代の運輸規制緩和によって成長が促進され、とりわけ1984年新海運法において海上運賃ファイル(公示)の資格と見返りの保証金預託義務を付与され、NVOCC(非船舶運航海上運送人)として正式に規定された。
米国におけるNVOCCの業態として、以下の分類が行なわれている。
?@独立系; 電話のみの零細サービスを起源に総合物流企業化したもの
?Aフォワーダー系; 書類事務会社が実運送分野への展開のために系列・子会社を設立したもの
?Bメガ・キャリア系; 総合物流企業が本来の本業であったLTL(トラック混載輸送)事業回帰のために設立したもの
?Cニッチ事業者系; 船社の営業、マーケティング、混載などの集荷業務を代行するもの
?D大手トラック事業者系; トラック運送と外航海運を兼業するもの
?E荷主系; インハウス物流事業者が第三者の貨物の集荷によりSC締結を狙ったもの
?F航空貨物混載系; 航空貨物から海運に進出したもの
である。
3. グローバル・アライアンス形成の影響
最近2年ほどの間に、世界の定期船船社はきわめて大規模な国際提携(アライアンス)の締結を行なった。1996年1月に、APL、OOCL、商船三井、ネドロイドによる太平洋航路とアジア・欧州航路における「ザ・グローバル・アライアンス」がスタートし、アジア9カ国(14港)、欧州4カ国(5港)、中北米3カ国(10港)をカバーする巨大なネットワークを形成した。これを皮切りに、NOLがアジア・欧州航路においてACEコンソーシアムを脱退し、他航路同様に日本郵船およびHapagと提携して、「グランド・アライアンス」を結成した。これに同年6月、P&OCLが参加するなどして、各アライアンスが順次形成されていった。97年1月にはP&OCLとネドロイドが合併し、同4月にはNOLがAPLを買収し、吸収合併(M&A)によって市場構造が流動化に向かっている。結果として、伝統型のスペース・チャーターと大規模単独運航を含めて、5つのアライアンスが形成された。各国の競争政策上の対応によるが、船舶保有会社設立やコンテナ・プール制導入などの動向からみて、今後も合併に向かうケースが増加するものと考えられる。
在来型コンソーシアムでは出身国を同じにするか先進国船社同士が提携を行なったのに対し、各アライアンスは米、欧、日、亜のメンバーから形成され、港湾投資や集荷コストを分担する形態をとっている。そのため、新たな三国間航路進出の機会を得た船社、中国などの国際拠点港以外への新規寄港を果たした船社も少なくない。
伝統的にコンソーシアムは単一航路についての提携なのに対し、グローバル・アライアンスは太平洋航路とアジア・欧州航路の2大航路、ならびにこのような2サービスの中間地点を核とした複数航路コンソーシアムである。2大航路の結節地をなすアジアの港湾は、ターミナル運営の効率性のうえからも、集荷マーケティングの拠点としても重要性を増し、文字どおりのハブ港湾となった。盟外船社のなかには、このような事情で航路が集中し混雑が増したハブ港湾をバイパスする戦略をもつ船社も出だしている。