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2) 電気製品(テレビ)物流とTSA戦略効果

電気製品物流の運賃の決定についても、オートパーツ物流と同様のことがいえる。TSA発足後に操業度機能は大幅に改善、また集中度機能もコンテスタブル状態からの脱却を果たしている。さらに複合輸送についても、差別化サービスヘの評価が運賃の推移に反映されている。

オートパーツと電気製品という有力な品目についての運賃決定方式が相互に類似していることは、極めて興味ある事実である。ロジスティクス時代における物流業と荷主の関係は、製造業の業種あるいは品目レベルにおけるミクロ的運賃決定に反映されている。それは、かつてのような賃率表と同盟運賃水準といった品目間の交差補助関係を前提として語られるものではない。現代のミクロ的運賃決定は、荷主のロジスティクス戦略に物流業のサービス差別化戦略がどう対応しているかによって決定されるものであることを、図表4-4はよく示している。

 

3) タイヤ物流とTSA戦略効果

タイヤ物流にみられる特徴は、複合輸送および船型の大型化というサービス差別化要因がいずれも運賃決定に対してプラスに作用している点に求められよう。これは、タイヤ物流サービスが付加価値のあるサービスとして荷主から評価されていることを示唆している。

このようにタイヤ物流サービスは、フル・コスト原則の面からはオートパーツや電気製品(テレビ)の運賃決定状態とは若千異なるけれども、付加価値サービスに対する評価という面ではこれらの2品目の物流サービスを質的に上まわっている。さらに、TSA体制発足後の操業度と集中度は、わずかではあるが正常な作用を取り戻している。これはTSA体制発足後における操業度の大幅な機能回復に加えて、集中度の作用もまたプラスに維持されたからである。しかも他の2品目のケースと異なって、タイヤ物流の場合には、TSA戦略が運賃のレベルを低下させる作用はみられない。したがって、タイヤ物流サービスは荷主のロジスティクス戦略によく適合するとともに、それに対する正当な報酬を確保しているとみられるのである。

 

4) ロジスティクス戦略対応の正当性

本節で取り上げたオートパーツ、電気製品(テレビ)およびタイヤの3つの物流サービスは荷主のロジスティクス戦略と結合して展開されてきたもののように判断できる。これは、一般的な運賃水準を全体として考察している限り導くことができなかった側面である。ここで3品目のサービスに対するTSA戦略効果を求めると、図表4-5のようになる。

オートパーツについては、TSA発足直後から92年第1四半期までの間は、TSAは顕著な効果を生んでいない。しかし92年第2四半期〜95年第4四半期の15四半期において、この効果の倍率が1.0を上まわったのが11四半期にも上っている。この15四半期の平均倍率は1.051である。つまり最近4年間に限定すると、オートパーツ運賃はTSA戦略によって約5%程度上昇したことになる。

一方、電気製品(テレビ)については、オートパーツに対するTSA効果の作用よりも若千早い時期から、この効果は顕在化していた。91年までに3四半期にわたり、効果は1.0の倍率を超えている。

 

 

 

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