第5の展開としては、90年代に入って加速している新しい産業潮流がある。とりわけ情報通信産業は、規制緩和、これに伴う通信インフラの高速化・低価格化、パソコンなどの高機能。低価格化が急速に進んだことを契機に、通信市場・情報通信関連機器市場が急速に拡大している。今後とも、情報通信産業は経済活動の中核を担っていくことが予想される。
(2) 関西地域の産業構造の特色1
関西地域における産業構造の特徴を域内総生産の産業構成でみると(図表2-1、次ページ)、関西は全国と比べ、第一次産業の域内ウェイトが従来から他地域に比べ低く、第二次産業の域内ウェイトが全国を上回る構造になっている。第二次産業は1970年には域内で46.1%のウェイトを占めていたが、2度にわたる石油危機などの影響による経済活動の停滞などから、85年には36.4%にまで減少した。一方、全国シェアについては、70年21.7%、80年18.8%、90年18.0%と減少傾向にある(図表2-2、51ページ)。
また、製造品出荷額等の対全国比は、70年には23.3%と関東地域に次ぐシェアを維持していたが、その後、減少傾向にあり、92年には18.3%と中部地域(22.7%)を下回っている。このように関西経済は、戦前の「3割経済」はおろか「2割経済」にも達しない状況となっている2。
さらに業種別のウェイトをみると、近畿地域は、関東地域、中部地域に比べて組立加工型産業の比率が低く、生活関連型産業および基礎素材型産業の比率が高くなっている(図表2-3、52ページ)。なお、図表にはないのが、92年の家電および繊維産業の工業出荷額に占める比率は、全国ではそれぞれ、16.8%、2.7%であるのに対し、関西はそれぞれ、4.4%、16.0%となっている。家電の比率について、84年を境目にして関西と全国が逆転している。
なお、関西発着の国内貨物流動を物量ベースでみると、95年度で11億553万トン、このうち関西内の貨物流動が全体の約72%(7億9,350万トン)を占める。
注1 ここでいう関西は、近畿通商産業局『21世紀に向けた近畿新産業ビジョン』を参考として近畿通産局の管内である大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、福井県の2府5県をさす。
注2 地域経済の産業連関分析については、少々古いが近畿通商産業局『昭和55-60-平成2年近畿地域経済の産業連関分析』が詳しく構造分析を施している。