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序章 本調査の目的と調査結果の要約

 

1. 本調査の目的

 

本調査では、東南アジアや極東の主要港湾との国際競争に直面している阪神地区の拠点港を念頭において、港湾を基点とした物流システムの効率的な運営のあり方を検討し、物流拠点を抱えた港湾都市の戦略的な物流政策を提案する。

第1章から第6章では、わが国の高度化する荷主ニーズの動向についてロジスティクスの視点から検討し、港湾を国際競争力のある物流拠点に育成するための施策を提案する。第2章では、阪神地区のおもな産業である家電産業および繊維産業について、これら産業の動向や物流に関する課題を整理し、港湾物流サービス効率化のための具体策を検討する。第7章のモデル分析では、港湾運営政策や港湾整備政策が船社や荷主の行動、地域経済に及ぼす影響を分析するためのネットワーク均衡モデルの考え方を整理する。第8章では、港湾管理者の港湾事業会計のしくみを点検し、地方公共団体が税負担に対して効果的な港湾整備を実現するために必要な財政的環境を提案する。

 

2. 調査結果の要約

 

第1章 荷主企業の物流ニーズ―総論―

林 克彦

 

本章では、日本の荷主企業の国際化が進展するなかで、その国際物流ニーズが高度に発展していること、物流ニーズ発展とともに物流管理にかかわる概念が拡大していること、高度な荷主物流ニーズに対応するため港湾物流にも変化が求められていることを説明する。

第1節では、おもに日本の製造業を対象とし、国際化とともに物流ニーズが高度化してきたことを時系列的に示す。現在、国際化の先陣をきる電機産業などでは、グローバル規模での最適化を行なう段階に至っていると考えられるが、主要企業は、世界4極をジャスト・イン・タイムで結ぶ高度な物流システムを構築しようとしている。

 

 

 

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