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も多いですね。電話で誰かと話していたりする……。

陳:そう。この映画は面談の層と彼女独りの層によって成り立っています。私がこのような重層的な構造を選んだのは、社会の層は常に男女によって成り立っているからです。彼女独りの層は、映画の中では一度ではなく何度も現れます。電話で話をしている時、彼女はまるで自分に向かって話をしているかのようです。実際は留守電に話しているのです。

―――誰の留守電ですか。

陳:それは秘密にしておきましょう。というのは、この映画の最後にそれがようやく分かるのです。そういえば、もう一人、一瞬出てくる女性がいます。彼女は政治的に非常に重要な人物です。私は彼女に、撮影現場でただ彼女自身でいてくれ、と頼みました。彼女の元へ行って「あなたは○○さんですか」と聞いて、彼女は「はい」と答える。「少しお話したいことがあるんですが」と言い「どうぞ」と答える。ふたりは座り、会話を続ける。どんな台湾人でも彼女を知っています。彼女は野党の一番重要な女性です。陳文茜です。

―――ところで、この映画の真のメッセージは、あなたが劉若英を愛しているということにも思えるのですが。

陳:とても難しい質問だ。実は撮影前6ヶ月の準備の間、私は彼女を使わないようにしようとしました。彼女はこの役には若すぎると思ったからです。彼女にとって結婚は、まだそれほどのプレッシャーではありません。でもこの映画に出たいという彼女の意思が、たいへん強かったのです。彼女は、この役をやるためには何だってすると、おりに触れて言っていました。何でもすると。ペイについても何も要求しませんでした。だから、私が彼女に出てくれと言った時には、少し混乱がありました。彼女の事務所とです。事務所の条件と折り合わなかったのですが、私は譲りませんでした。私はすでに撮影を始めているにもかかわらず、彼女との契約にサインをしていなかったという状況でした。あなたの質問に関してですが、とても奇妙なプロセスがあったということです。つまり、私は当初彼女がふさわしいとは思っていなかった。
しかし撮影中に、彼女が適任でなければ、誰も彼女以上にはならない、ということが分かったのです。役は非常に難しく、私はさまざまな戦略を練っていました。例えば、彼女を男たちに撮影前には会わせませんでした。そして、状況によってはこのやり方がふさわしくないのが分かり、前日にこれから会う男について話しておくことにしました。そしてまたやり方を変更して、彼女が会う5分前に、その男がどんな男かを説明することにしました。そしてまた、まったく情報を与えずに撮影に臨むというやり方に変えたりしました。彼女にとっては精神分裂症ぎみの体験だったと思います。撮影の最初のころは、彼女は現場に足を踏み入れるのを怖がっていました。たいへんな挑戦でした。何についても何も知らないという状況に常に置かれていました。プロの女優にとっては、恐怖でしかないと思います。私にとってもそれは挑戦でした。相手は劉若英だけではありません。私は毎日毎日たくさんの男たちに向き合わなければなりません。
そして、どのケースも違っています。金士傑(★8)のようなほとんど30年もこの仕事をしているプロの役者もいれば、陳昭榮のように、本当はプロの役者ではないけれど、蔡明亮に道で見い出されたために俳優になった人もいれば、まったく素性も知れないところから私の方にきた、演技について何も知らない人々もいます。

―――素人よりもプロの俳優の方が、演出は難しかったのでは

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