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赤い柿

1996年 166分 カラー・一部モノクロ ヴィスタ 中央電影公司

 

紅柿子

Red Persimmon

 

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海をみつめる日(P50)参照

王童

ワン・トン

監督

 

解説

 

『村と爆弾』(87)『バナナ・パラダイス』(89)『無言の丘』(92)と“台湾三部作”を撮ってきた王童(ワン・トン)の最新作。1949年に国民党とともに台湾に移住してきた国民党軍の将軍一家の生活の歩みを、祖母と子供たちを中心に描いている。監督の王童の父親は国民党軍の有名な将軍であり、ここで描かれているのは監督自身の自伝にほぼ近いといえる。そのためか、これまでの“台湾三部作”に見られたようなアイロニーやユーモア、また強調された重々しいドラマは姿を消し、懐古的なエッセイのような雰囲気を漂わせるものになっていて、王童のひとつの転換をなすように思われる。題名になった赤い柿は、祖母が大切にする絵に描かれたものでもあるが、オープニングの大陸のシーンにおけるモノクロ画面に唯一赤く色づく柿の実のように中国大陸を象徴しており、それは子供たちが台湾に上陸して口にする黄色いバナナと対比をなしている。

 

物語

 

1949年秋の中国大陸。国民党と共産党の内戦は共産党の勝利に終わり、国民党は台湾に敗退しようとしていた。国民党軍の将軍一家も台湾移住の支度にあわただしい。祖母は赤い柿の実った木を描いた絵を持って嫁や孫と一緒に台湾行きの船に乗船する。台湾では一家は台北郊外の広い日本家屋に落ちついた。子供たちは学校で地元の子供たちと喧嘩しながら台湾の生活にすぐに順応していく。父親の将軍も台湾にやってきて一家と合流するが、大陸反攻の作戦が家で練られる。やがて父親も退役して家に落ちつき、にわとりを飼ったりして失敗しながらも商売を始める。だが、子供たちが大きくなると、家をアメリカ人に貸し、小さな家に引っ越す。生活は相変わらず貧しいが、子供たちも大学に進学して社会の矛盾に目覚めていく。祖母は家に伝わる書画を二束三文で買いたたかれて怒るが、赤い柿の絵は手放さない。やがてその祖母も亡くなるが、大きくなった子供たちの台湾での生活は続いていく。(村山)

 

スタッフ

製作 : 林鴻鐘 リン・ホンジョン

監督・脚本 : 王童 ワン・トン

撮影 : 楊渭漢 ヤン・ウェイハン

照明 : 王盛 ワン・シェン

美術 : 李富雄

音楽 : 于光彦 ユー・グアンイェン

編集 : 陳勝昌 チェン・シャンチェン

録音 : 楊静安 ヤン・ジンアン

 

キャスト

祖母 : 陶宗生 タオ・スー

父 : 石雋 シー・チュン

母 : 王娟 ワン・ジャン

張世 チャン・スー

魯直

 

 

 

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