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暗戀桃花源

1992年 105分 カラー ヴィスタ 表演工作坊有限公司、龍祥有限公司

 

暗戀桃花源

Peach Blossom Land

 

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解説

 

悲劇と喜劇が同一の舞台で演じられるというシチュエーション・コメディだが、そうした混乱から台湾の抱える現実を引き出して見せる秀逸な作品である。この映画は頼監督自身が86年に発表した戯曲の映画化であり、彼の映画デビュー作である。彼は表演工作坊という劇団を率いる台湾演劇界のリーダー的存在でもある。この戯曲は台北での初演以来、香港、上海、シンガポール、アメリカなどで上演されて高い評価を得ている。映画版は巧みなカット割りで舞台劇の緊張感を再現することに成功している。この映画で演じられる二つの芝居。ひとつは、国共内戦によって上海で離別した恋人同士が40数年後の台北で再開するという話、もうひとつは四世紀の詩人陶淵明の寓話をもとにしたもの。頼監督はこの二つの物語をコインの裏表の関係としてとらえ、中国大陸と台湾の過去・現在・未来の関係を仮託して見せる。

 

物語

 

台北のあるホール。ある劇団がメロドラマ「暗戀(秘めたる恋)」のリハーサルに励んでいる。1948年の上海で愛を語り合った恋人同士が、国共内戦で引き裂かれて40数年が過ぎても相手を探し続けるという物語である。これは演出家自身の物語らしい。ところが女優と男優のラブシーンの最中、突然、別の劇団が現れてリハーサルを中止させる。この妨害に演出家は激怒するが、実はホールのミスで二つの劇団がダブル・ブッキングされてしまっていたのだ。こちらの劇団は桃源郷伝説をモチーフとした「桃花源」の稽古をしようとしていたのである。ホールの関係者はすでに帰宅し、スケジュールを譲れぬ両劇団は、やむなくひとつの舞台で二つの芝居を同時に演ずることになった。そのうち悲劇の「暗戀」と喜劇の「桃花源」という正反対の性格を持った芝居が次第に混じり合い、不思議な調和を始めていく。そこへどこからともなくひとりの女が現れる。

(門間)

 

スタッフ

製作 : 藍大鵬

監督 : 頼聲川 スタン・ライ

脚本 : 頼聲川 スタン・ライ

撮影 : クリストファー・ドイル

照明 : クリストファー・ドイル

美術 : 張叔平 ウィリアム・チョン

音楽 : 板橋文夫、梅津和時

編集 : 陳博文 チェン・ボーウェン

 

キャスト

ユン : 林青霞 ブリジット・リン

チャン : 金士傑 ジン・シージエ

タオ : 李立群 リー・リーチュン

イェン : 顧寶明 クー・パオミン

ホア : 丁仲 ディン・チョン

チャンの妻 : 林麗卿 リン・リーチン

陳立美

 

第29回金馬奬最優秀作品賞 最優秀脚色賞 (頼聲川)

最優秀助演男優賞 (顧寶明)

92年東京国際映画祭ヤングシネマ部門シルバー賞

93年ベルリン映画祭フォーラム部門カリガリ賞

93年シンガポール映画祭フィプレッシ賞

 

 

 

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