物語
日本の無条件降状を告げる玉音放送が流れた1945年8月15日。林家の長男、文雄の男子が誕生した。林家には4人の息子がいる。次男は日本軍に徴用されたまま南洋から戻らず、生還した三男は精神を病み、耳の不自由な四男、文清は写真館を開いている。解放の喜びもつかの間、大陸から渡ってきた“外省人”と台湾に住んでいた“本省人”の対立は深まるばかり。失業者は増え、インフレが起こり、対日協力者の逮捕、リベラルな知識人への弾圧が進んでいく。一方で、文清と同居する教師、呉寛榮らは理想国家の実現に情熱を燃やし、寛榮の妹、寛美と文清の間には美しい恋が芽生える。しかし、1947年、闇煙草の摘発を巡る外省人警官の発砲事件をきっかけに、民衆の不満が爆発し、歴史に残る“2・28事件”が起こる。戒厳令の敷かれる中、文清と寛美は結婚するが、寛榮は銃殺され、文清も逮捕される。この年の暮れ、国民党政府は台北を臨時首都に制定したのだった。(稲垣)