日本財団 図書館


048-1.gif

風櫃の少年

1983年 101分 カラーヴィスタ 高年青影業公司

 

風櫃來的人

The Boys from Fengkuei

 

048-2.gif

侯孝賢

ホウ・シャオシェン

監督

 

ステキな彼女(P41)参照

 

解説

 

侯孝賢監督の自伝的要素が濃厚で、“台湾ニューウェーヴ”の代表作として国内外で高く評価されている。フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』や韓国の『風吹く良き日』(李長鎬監督)などと比較してもいいかも知れない。閉塞感から逃れようと、もがくように少年たちは大都市に脱出する。しかし学歴も専門技術もなく、兵役も終えていない彼らは将来への展望も持てず、ただ若さだけを持て余す。ロングショットや長回しの多様など、後の侯孝賢スタイルが確立された最初の作品でもある。また彼が“台湾人”の家族意識というものを描いた初の映画でもある。以後『冬冬の夏休み』、『童年往事』、『恋恋風塵』と、自伝的回想を盛り込んだ作品を連作することになる。脚本の朱天文はこの作品以降、侯監督作品を手がけていく。主人公の友人の姉の夫役で侯監督も出演している。また音楽は楊徳昌監督が担当している。

 

物語

 

台湾の澎胡島・風櫃で生まれ育った阿清は、仲間の阿栄や郭仔、阿育たちと喧嘩や悪事に明け暮れていた。阿清の父は彼が幼い頃に草野球の試合で頭部に受けたデッドボールのため廃人同然となっている。そんな家族の中で疎外感を感じている阿清は、日毎に高まる閉塞感を抑え切れなくなり、二人の仲間と故郷を飛び出す。阿栄の姉の紹介で彼らは大都市高雄で仕事を得た。阿清たちは同郷の錦和のいるアパートに移り住んだ。阿清は彼の恋人で基隆出身の小杏にほのかな恋心を抱き始めた。想像とは異なる単調な工場勤めの日々が続く中、錦和は工場での盗みが発覚し工場をクビになった。阿清のもとに父の死の知らせが届く。阿清の故郷が見たいという小杏とともに、阿清は帰郷し父の葬儀に出る。高雄にもどってしばらくして小杏は台北に去る。阿清たちは露天商を始めるが、彼らには兵役が迫りつつあり、少年時代は終りを告げようとしていた。

(門間)

 

048-3.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION